193 ページ3
Aは世話役の集団部屋からこっそり抜け出して毎夜ｱﾙﾊﾞｰﾄの部屋の窓が見える庭にでる
この庭から幽閉部屋の窓が見えることはｱﾙﾊﾞｰﾄには何となく言っていない
だから今日もこっそりと彼の姿を見ることは出来ないが木陰に座り窓を見つめる
A「(ｱﾙﾊﾞｰﾄはいつもあの窓から外を見つめている
ｱﾙﾊﾞｰﾄとは一日三回の食事の上げ下げと
月に一度の面会の時の立ち会いだけでしか会えない
日に日にやつれていくｱﾙﾊﾞｰﾄを見るのは正直辛いけど
少しだけでも顔を毎日見て声を掛けられることに感謝している
きっとｱﾙﾊﾞｰﾄは毎日ｳｨﾘｱﾑの事を思っているのだろう
こうなったのは自分のせいだと自身を責めて苦しんでいるのだろう
でも、確かにｳｨﾘｱﾑは私達に巻き込まれただけだ
私達というか私だ
私があの時ｱﾙﾊﾞｰﾄの背中を押していなかったら…
私こそがあの2人にとっての本当の悪魔だ
私は私を許せない
ｳｨﾘｱﾑを死が唯一の救いとなるまで苦しめてしまった
2人が流れ着いた下水道であの男に会った時
私が連れて帰ると言えなかった…
ｳｨﾘｱﾑを本当の意味で救う事は出来ないと思ったから)
ねぇｳｨﾘｱﾑ…
貴方はいま何をしてる？
生きる選択をしてる？
ｳｨﾘｱﾑにとってここは辛い思い出しかないから
私達のことなんか忘れて
新しい土地で新しい人生を生き直して欲しい
そう願ってる
でも…
でも…やっぱり会いたいよ…ｳｨﾘｱﾑ…」
Aは膝を抱えて俯く
ｻﾞｻﾞｯ
A「！…誰？」
後ろに気配を感じたAは太ももに忍ばせていたﾅｲﾌに手を掛けて素早く振り向く
?「A」
A「！！…ｳｨﾘ…ｱﾑ…?」
そこには居るはずのないｳｨﾘｱﾑが佇んでいた
A「どうして…！」
ｳｨﾘｱﾑは口元に人差し指を当てて微笑む
ｳｨﾘｱﾑ「あまり大きい声を出すと誰か出てきてしまうよ」ﾆｺ
A「ｳｨﾘｱﾑ…っ
どうしてここに…?
ｱﾒﾘｶにいたんじゃ…」
ｳｨﾘｱﾑ「うん
いろいろ説明しないといけない事が沢山あるね
でもその前に…
ねぇA昔みたいに抱きしめてくれない？」ﾆｺ
Aの瞳に涙が溜まってこぼれ落ちる
A「っ…もちろんよ、おいでっ」
Aは腕を広げてｳｨﾘｱﾑを抱きしめる
ｳｨﾘｱﾑ「ただいま」
A「おかえりなさい、ｳｨﾘｱﾑ
本当にごめんなさい
でも、生きる選択をしてくれてありがとう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alice | 作成日時：2023年2月8日 16時
