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ｱﾙﾊﾞｰﾄ「…犯してきた罪と向き合うことがあの時の私には必要だった
いくら近くにいたとはいえ
君には辛い思いも、寂しい思いもさせてしまった
私の自分勝手な自責の時間に君を付き合わせてしまった」
A「そんなことないわ
会える時間も触れられる時間もごくわずかだったけど
それでも私は貴方が近くにいてくれたから、耐えてこられた」
ｱﾙﾊﾞｰﾄ「A…」
ｱﾙﾊﾞｰﾄは身体を起こしてAを見つめる
ｱﾙﾊﾞｰﾄ「…今の私には地位も権力も財産もない
君に好きなものすら買ってあげられない
そんな私を君は変わらずに愛してくれるか？」
A「(ｱﾙﾊﾞｰﾄのこんな不安そうな顔みたことない…)
ねぇｱﾙﾊﾞｰﾄ
言ったでしょう？
ﾄﾞﾚｽも宝石も不自由のない暮らしも…
貴方がいなければ何の価値もないのよ」
Aは自身の手を伸ばし、ｱﾙﾊﾞｰﾄの頬に添える
A「私は貴方だけがいてくれればいい
他に何も望まない
貴方から離れる事は絶対にないわ」
Aが真っ直ぐｱﾙﾊﾞｰﾄの目を見て微笑む
ｱﾙﾊﾞｰﾄ「A…」
そう呟くとｱﾙﾊﾞｰﾄの頬に涙がつたう
ｱﾙﾊﾞｰﾄ「…本当はずっと不安だったんだ…
君と許婚でいられたのも
地位も権力も財産も全ては私がﾓﾘｱｰﾃｨ伯爵家の長男だったから与えられたものだ
私だけの力で手に入れられたものなど何一つとしてない
私はお前達がいないと何も出来ない弱い人間なんだ」
A「ｱﾙﾊﾞｰﾄ…」
Aはｱﾙﾊﾞｰﾄの頬につたう涙を指で拭う
ｱﾙﾊﾞｰﾄ「伯爵位を返上して全てを失い
1人で幽閉されることを選んだ身勝手な私に
君が愛想をつかしても仕方がないと思った…
君が望むのなら解放してあげなければと…
そう自分に言い聞かせても
君の望みを聞くことがずっと出来なかった
いつも優しく微笑んで、愛を囁いてくれた君から
私を愛していないと冷たい表情で突き放されたら
考えるだけでも恐ろしくて不安だった
それでも君は変わらず
"私だけがいてくれればいい"と…
"他に何も望まない、私から離れない"と答えてくれた
その言葉に私は今どれほど救われたか
ありがとう、A
こんな私を変わらず愛し続けていてくれて…」
ｱﾙﾊﾞｰﾄは頬に添えられたAの手に自身の手を重ねる
A「ｱﾙﾊﾞｰﾄ…
私は貴方の不安に気づいてあげることが出来なかったのね
あんなに近くにいたのに、何も見えてなかった」
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作者名：Alice | 作成日時：2023年2月8日 16時
