其ノ三 ページ5
いつもとは違う三郎と勘右衛門の様子に、庄左ヱ門と彦四郎は戸惑いしか感じなかった。
いつも飄々としていて、笑って、楽しそうに話している先輩達が、とても苦しそうに笑っているようにしか見えなかった。
それ程に、その錦一京という人物の存在がこの二人の中で大きなものであるのだと、分からない方がおかしいというものだった。
三「おいおい、どうした彦四郎。」
勘「あははっ、庄左ヱ門も。凄い泣きそうじゃん。」
彦「だって、悲しくて……」
庄「それに、先輩方が苦しそうだから……」
そう言った二人に少し驚いた後、三郎と勘右衛門は笑い合っておいで、と手を広げれば二人は少し迷ってポスリとその胸に体を沈めた。
おそらく泣いてはいないが、泣くのを堪えているのだろう。服を握りしめた手がふるふると震えていた。
三郎と勘右衛門は心が清く、とても優しい小さな二人の後輩の背中を優しく擦り続けた。
ありがとう
自分達の大切な人の為に心を痛めてくれて
自分達の為に涙を堪えてくれて
結局少ししてすやりすやりと睡魔に負けた庄左ヱ門と彦四郎が眠るまでそう思いながら。
きっと、級友が見つからない悲しさを思い出した事と、後輩から伝わる暖かさのせいなのだろう。静かに頬を伝って流れ落ちた涙の存在は三郎と勘右衛門の互いにしか分かりはしないだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒糖さんでーす - 良かったです (2023年3月1日 10時) (
レス) @page13 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識さんのこと、呼び捨てにしてしもうた。、、、すいやせん、 (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識の作品は良いものばかりです。他の作品があったらぜひ、読ませて頂こうと思いやす(;´д｀) (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 良い物語だったです。終わりまでみやした、うん｡面白し、感動もあり良かったです!!!!コメント失礼しました (2023年1月6日 1時) (レス) @page13 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
Topaz トパーズ - 素敵です！いつかは分からないけど、最新待ってます！頑張ってください！ (2021年7月21日 6時) (レス) id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一色識 | 作成日時：2021年4月18日 21時
