其ノ十一 ページ13
一京が伊作に手を引かれながら向かったのは医務室。
そして「ただいま戻りました〜」と緩く言う伊作の後ろから恐る恐る顔を出した一京は思いもよらなかった衝撃を腹に受けて『ｳﾞｯ!!』と低い声を出して廊下にしりもちをついた。
『なっ、何？！』
伊「も〜、数馬、左近！急に突進してきたら危ないだろう？」
数「だっ……だあってぇ……」
左「一京せんぱいが、かえってきたから……」
『あぁ、数馬に左近。ごめんね心配かけちゃって。いっぱい泣かせちゃってごめんねぇ？』
一京の腹にしがみついてボロボロ泣いている後輩達の頭を撫でていると医務室からひょっこりと2人の一年生が顔を覗かせた。
赤いくせ毛の眼鏡の男の子と、一京を興味津々な目で見ている少し顔色の悪い男の子。
伊「一京。この子達が一年の保健委員の子だよ。ほら、二人とも自己紹介は？」
乱「はいっ！私は一年は組の猪名寺乱太郎です！」
伏「僕は一年ろ組の鶴町伏木蔵ですぅ〜」
『乱太郎と伏木蔵か。僕は錦一京。色々あって今日帰ってきたんだ。異質な見た目してるけど普通の人だから怖がらないでくれると嬉しいな。』
サラリと髪を揺らして笑った一京を乱太郎と伏木蔵はじーっと見ていた。
何故そんなに見られているのか分からない一京が首を傾げながら伊作を見ると、伊作も分からないのか首を傾げた。
これはもう聞かねば分からないと思い『僕の顔おかしい？』と聞けば二人はハッとしてあわあわと一京に謝ってからこう言った。
乱「ジロジロ見ちゃってごめんなさいっ…！その、髪がとっても綺麗だなって思って……」
『へ？』
伏「ほんと、とっても綺麗ですぅ……」
『怖くは、ない？』
乱「へっ？どうしてですか？」
伏「お日様が当たってきらきらして、と〜っても綺麗ですよぉ？」
「ね〜」と顔を合わせて言った乱太郎と伏木蔵の言葉が嬉しくて、一京が思わずギュッと二人の頭を抱き締めれば腹の方から「ずるい！」「僕らまだギュッてしてもらってない！」と数馬と左近が騒ぎ始めたので四人まとめて抱き締めれば「僕だけ仲間外れにする気？」と伊作が一京を後ろから抱き締めてその近くにいつの間にか居た新野先生も目に涙を浮かべて一京の頬に触れた。
新「心配したんですからね。もう、無茶はダメですよ？」
優しくて暖かい大好きな先生の声に、優しい先輩に可愛い後輩。
これが夢ではないなんてなんて幸せなんだ。
終わり
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黒糖さんでーす - 良かったです (2023年3月1日 10時) (
レス) @page13 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識さんのこと、呼び捨てにしてしもうた。、、、すいやせん、 (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識の作品は良いものばかりです。他の作品があったらぜひ、読ませて頂こうと思いやす(;´д｀) (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 良い物語だったです。終わりまでみやした、うん｡面白し、感動もあり良かったです!!!!コメント失礼しました (2023年1月6日 1時) (レス) @page13 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
Topaz トパーズ - 素敵です！いつかは分からないけど、最新待ってます！頑張ってください！ (2021年7月21日 6時) (レス) id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一色識 | 作成日時：2021年4月18日 21時
