【rkrn】感情【鉢屋三郎】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:9,454 hit

想いを告げさせてくださいページ5

くあ、と欠伸をする。

あーぁ、暇だ。
今日は委員会も無いし、このあとの用事もない。

空を見上げれば良い天気で、昼寝でもするかという結論が出た。
ひとけのないお昼寝スポットを目指し、学園の奥へ奥へと歩いていった。

この辺かな。

木陰に寝転がり、数分ともたずに眠りに落ちた。

暫くして、何者かの気配で起きた。
舌打ちしたくなる気持ちを抑え、誰の気配だと辺りを探ると、その犯人は和泉宮先輩と、同じ学年のヤツだった。

「あ、あのっ……和泉宮先輩のこと、前から好きでっ…良ければ、僕とお付き合いしてくださいませんか！」

また、どろりとしたものが腹に溜まった。
私も、好きって言いたい。
お前、なんで言っているの。

「はっ……男同士のくせに、キモ」

口から、自分を棚にあげた文句が出た。

そうだよ、男同士なんだ。
先輩は男色家では無いかもしれない……。
この気持ちが知られれば、嫌われるかも。

頭がさぁっと冷めていった。

その話をちゃんと聞くべく、神経をはりつめ耳をすませた。

「うん……好きって言ってくれて有難う。嬉しいよ。
けど、ごめんな。
俺には好きな人がいるんだ。
今は、その人以外見えないよ」
「その人、て……5年い組の、久々知ですか」
「ふふっ、違うよ。
もっと、美しくて、綺麗で、可愛くて、可憐な子さ。
勿論久々知が美しくない訳ではないけれど、」

お茶目ににやっと笑ってみせた先輩。
次の言葉が待ち遠しくて、血液がどくどくと脈打っている。

「その子には負けるかな」