2 ページ2
「わりぃ、部屋を間違えた」
フードを被った男の人(額になんかキラキラしたものついてるし芸能人かってくらい美形だ)は内側からドアが開いたことに驚いたのか目を見開き、私を見るなり申し訳なさそうに頭を下げた。一方青いジャージの冨岡さんはと言うと、すやすやと寝息をたてていた。頬がほんのり赤いからお酒を飲みすぎたのだろう。
部屋を勘違いしているという予想は当たっていたようだ。酔っ払いの介抱は私も経験があるが、ちんぷんかんぷんな人間の面倒を見るのは骨が折れる。
「・・・冨岡さんは隣の201号室です」
「ありがとう。夜遅くに悪かったな」
「いえ・・・失礼します」
冨岡さんを引きずって歩いていくフードのイケメンが今度こそきちんと201号室の前に立ったのを確認してからドアを閉める。先程の恐怖で冷えた背中がなんだかまだ気持ち悪い。
冨岡さんは引越しの挨拶の他に数回ゴミ捨て場で見かけただけだが、穏やかそうな人でお酒を飲みすぎるようには見えなかった。しかし人は見かけに寄らないらしい。あのような派手が服を着て歩いているような友人がいるのも意外だ。
「靴を脱げ!廊下で寝るな、ベッド行け!」
鍵を閉め、リビングに戻ろうとすると壁越しに先程のフードのイケメンの怒鳴り声が聞こえてきた。
酔っ払いの介抱お疲れ様です、と心の中で労いの言葉をかけながら欠伸をする。私もそろそろ寝るとしよう。いまだに響いてくる隣の部屋の声を聞きながら歯磨きを済ませベッドに潜り込んだ。
15人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おちゃっぱ | 作成日時:2020年1月22日 21時