もっと頼ってよ、3

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壱馬side

大きな建物を見上げる。

見上げる先には大きく「LDH」と書かれたビル。

そう、事務所だ。本当に、本当に久々にやってきた事務所。

今日、苦しくも楽しい1ヶ月を終え退院してきた。

久々の社内は、なんだか緊張する。

俺の思い出と夢が詰まったこの社内。

世界一幸せな職業だと、言い切ることができる。

ふぅーっと1度深呼吸をして、胸を張って入社する。

…初出勤の時のようで、初々しさが甦ってきた。

真っ先に向かったのは、HIROさんのところ。

俺が背負うリュックの中に入っている、書類たちを渡すと共に、提案するのだ。

またふぅーっと深呼吸をして、ドアを控えめにノックした。

「THE RAMPAGEvocalの川村壱馬です。朝お電話させていただいた件です。」

「入って。」

ドアをそっと開くと、ぶわっと香るHIROさんの香水の香り。モノトーンで整ったその部屋は、なんだか自宅の一角のようだった。

「あ、そこ、座って。」

指をさされた先は、一人がけのソファー。向かいに同じソファーが置いてあり、机もあるからここで提案となるのだろう。

「失礼します。」

断りを入れて浅くソファーに腰かける。

今日はもう何度目か忘れた深呼吸をして、

「まず、ステージ構成についてですが…」

と、書類と共に、HIROさんに俺の考えたもの全てをプレゼンしていく。

なんだか、すごく心地の良い緊張感に俺の体は包まれていた。

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