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白衣の麗人 ページ2

賑やかな横浜の街の隅、薄暗い路地裏にその診療所はあった。
薄暗くはあるが、わずかに差し込む自然光のおかげで不思議と汚らしさはない。
蔦の絡まった表札が、この建物の名前が『ヨコハマ診療所』であることを表している。

太宰は、なんて安直な、と少し笑う。





「はい、お大事に。1週間以内にまた鉛玉ぶち込まれたら死ぬと思って」

「そんな…」

「奥に君を撃ったヤツが運ばれてるけど、喧嘩はココの外に出てからにしてね」

男は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてから感謝の言葉を述べた。
___ありがとうございます、流女医(ながれせんせい)
女性が、ふわふわとカールした短い茶髪を揺らして微笑んだ。

その笑顔に当てられた男が、魂を抜かれたように診療所を後にしたのを横目に、太宰は部屋に足を踏み入れた。
病院特有の、薬と血の匂いが脳まで届く。


「相変わらずだね、A」

「太宰…?わあ、てっきり死んだんだと思ってた」

「私もだよ。君は信者に刺されたものだと思っていた」

「私はミュージシャンじゃないよ」

久しぶりだと親しげに微笑み、患者のために用意された椅子に腰掛ける男、太宰。
Aはその包帯を一瞥してからまた少し笑った。

「今日はなんの用?私もそれなりに忙しいの」

「冷たいなあ〜。久しぶりに片割れに再会したんだから、心中のお誘いがあってもいいと思うのだけど?」

「私は片割れだと思ったことはないけどね」

向かい合う二人の瞳は同じ鳶色だった。
Aの方が濃く艶やかな茶髪だが、遠くから見ればよく分からないものである。

「そう?中也なんて、君に初めて会った時は大変だったじゃないか」

「うん、太宰が異能で女に変えられた〜って言ってたね。太宰に異能が効くわけないのに」

「うふふ。あの後、中也の車を爆破したのは傑作だったな〜」

「あれやっぱり君の仕業だったんだね」

和やかに形のいい瞳を細めていたAだが、何かを思い出したように手を叩いた。

「そうだ、君に話したかったの」

「なに?」

「君に似てることで損をした話」

「…ちょっと酷くない?」

Aは「毒は入れてないよ」と太宰に紅茶とお茶菓子を勧めながら、窓の方を見やる。朝から曇り空だったが、雨が降り始めた。
薄暗い診療所の中は、たちまち静かな雨の爽やかさで満たされる。


「君が超スパルタ指導した、あの子のことなんだけどね」

白衣の麗人→←1、白衣の麗人



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白瀬(プロフ) - 皐月さん» ありがとうございます!不定期更新ですが、どうぞよろしくお願いします…! (2019年7月25日 23時) (レス) id: 00ae9e57de (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - はじめまして!続きを楽しみしています! (2019年7月25日 22時) (レス) id: 6d688681c6 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬(プロフ) - まなむさん» 愛の告白ありがとうございます!その言葉でがんばれます。。 (2019年7月22日 23時) (レス) id: 00ae9e57de (このIDを非表示/違反報告)
まなむ(プロフ) - 初めまして!!あの!好きです!!楽しみにしてます^^ (2019年7月22日 22時) (レス) id: d6b2dcb6a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白瀬 | 作成日時:2019年7月13日 23時

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