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二度目の生活は、普通だった。
｢......テレビに私の顔がある！なんで？｣
ヤブ｢あっ、その番組はクソなんだ。見るのやめとけ。｣
しばらくはずっと同じニュースばかり。
喰種被害者だった少女が、里親を殺したなんてものだ。でもそれは数ヶ月後、喰種が殺したってことになった。そうじゃないと白鳩も報われなかったんでしょ。評判とか、正義感とか、いろんなものが削られていく。
｢洗濯物干したよー。｣
ヤブ｢んじゃ、今日はパンにすっか。俺は腹すいてないからいいや。｣
｢イチゴジャムある！？食べたい！｣
貴女はその喰種に誘拐された。世間的にはそう見られていた。
でも実際は、ヤブは貴女をずっと匿っていた。闇の中で静かに死んでいくのが一番だと、ヤブはそう悟っていたの。
｢すまほ？｣
ヤブ｢入れたいアプリとかあったら、父ちゃんに言えよ。父ちゃんはいつでもお前の味方だからな。｣
｢ありがとっ！｣
......幸せを得るための条件は、本人が望むことを叶える。本人が望まないことを本人から遠ざける。それが最適解だと信じた。
アンタ、どうしてこんな幸せな生活を捨てたか分かる？覚えてる？
覚えてないと思うから話すけど、小さなことが始まりだったの。
｢(えっ、このメール......ヤブじゃない。外から誰かが私を撮って、私に送っているんだ。)｣
よくいる野次馬。いるでしょ？誰かを陥れないと生きていけないような、可哀想な奴ら。アンタはそれに騙された。自分の着替えてる写真とかを広められたくなくて、ヤブに相談せず、一人で指定された場所まで出掛けた。
......外に出ることは禁じられていた。なのにアンタは外に出て、また同じことを繰り返した。
｢やだっ、やめて......やめて！助けて！ヤブっ......！｣
その男に何をされたかは知らないけど、近所にいた人たちはこう口にした。
ある朝、知らない男と少女の叫び声が聞こえた。男が少女に行為を強制させようとしたような会話だった。
｢だれかぁ！！！｣
貴女の叫びは、そこで途絶えた。
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作者名：琲世 | 作成日時：2022年12月4日 23時
