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少し汚れた十字架の下に埋葬されるはずだった、私の友人、私の恩人、私の部下、私の相棒。彼はもう死んだ。消えた。
｢ヤブはずっと昔から、私と関わっていたんだ。でも......今になって関わってくるなんて。気持ち悪いよ。｣
彼が遺した日記を繰り返し読み終え、なくなった足を見つめ続けていると、いつの間にか朝を迎えていたらしい。はっくんが死んだということを信じられなかった。悲しかった。
｢ヤブの顔を思い出さないと。ヤブは......誰だっけ。どんな顔だっけ。｣
目を閉じなきゃ。目を閉じて、私はまた記憶の世界に浸るの。
和修吉時｢有馬准特等、少しいいかな。我々は今日、新たに喰種の捜査官を迎え入れた。コクリアに収監されていたとある喰種が、有馬白狼のように強い捜査官になりたいと志を見せてね。直接その喰種と話して、彼を採用したんだ。有馬一等捜査官が死んだと報告を受ける数時間前に、ね。｣
｢あ......｣
和修吉時｢彼が死んだと聞いて、私も悲しかった。喰種も涙を流していた。彼の命の喪失を悲しむ心は、きっと我らCCGのためにもなるはずだ。紹介しよう。｣
その声と瞳は覚えている。顔だって気持ち悪いほど見てきたけど、その顔だけが思い出せない。
？｢初めまして。｣
こんな声だった。あんな瞳だった。
｢ヤブ｣
？｢......？｣
和修吉時｢紹介しよう。彼は......名前を捨てたんだったか。死んだ彼のような立派な人になりたいと、その名前を継いだ。｣
有馬白狼｢有馬三等捜査官です！よろしくお願いいたします！｣
こんな姿だった気が、する。
和修吉時｢ああ、電話だ。彼と少し話して待っててくれ。｣
有馬白狼｢......｣
あの喰種と特徴が一致しすぎた、気持ち悪さ全開の喰種。よりにもよって彼の名前を継いだ、私の相棒になってしまうかもしれない喰種。彼本人ではないと思えば思うほど恐ろしい。
でも、その造形ははっくんとそのままだ。少し身長は高い。
有馬白狼｢やっと会えたぁ。危なかった......ヤブの企みに気づけなかったら、白狼さんの意思も受け継ぐことができなかった。初めまして、Aさん。かつての有馬白狼の代わりに、今度は俺が貴女を護ります。｣
｢え？｣
有馬白狼｢ヤブもコクリアに収監され、捜査官となることで貴女にとって身近な存在になれるようにと企んでいました。あのヤブの瞳に気付けたのが幸いです。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2022年12月4日 23時
