壊れた ページ4
有馬白狼、殉職。
有馬貴将｢............｣
遺体は輸送車に運び込まれ、直後アオギリの襲撃により遺体を奪われる。
有馬貴将｢ここに彼はいない。｣
｢貴将、私の人生って無意味なのかもね。私と一緒に遊んでくれて、救ってくれたのは白狼で間違いなかった。でもさ、ヤブも私の人生を形作った一人だったみたいで。ずっと昔、迷子になった私を助けてくれたって書いてあった。友達に人間と仲良くなったって自慢されて、嫉妬したって。｣
有馬貴将｢無意味じゃないから救われた。ここに白狼はいないが、言葉は必ず届く。自由な風に乗って、必ず......届く。｣
彼女は思ったよりも自暴自棄にならなかったものの、今にも死んでしまいそうな瞳になった。自分の二年間を彩った相棒が殺され、過去の断片を知らされ、この感情をどう整理しようか分かんなくなってしまったから。
自分達にできるのは、彼女が意味のない死を迎えないようにすること。白狼が必死に護ろうとしたこの命には価値があると知っている。
有馬貴将｢いつものタバコだ。吸うか？｣
宇井郡｢病人に吸わせようとしないでください！｣
有馬貴将｢ストレスをずっと抱えられるよりマシだ。......意外か？俺もお前の影響を受けたんだ。やってはいけないことをやったと思うと、どうしてか気持ちがいい。もちろん、こういう軽いものに限るけどな。｣
｢......ありがとう、貴将。一本ちょーだい。しばらくはタバコないとやってらんねぇや。｣
瓜江久生｢......(空気を読んで帰るべきか。)｣
それから、これはただの私情だが。俺は唯一の同期である彼女が好きだ。愛している。まだ口にはしてないものの、共にそれを分かっている。
報われない人生を過ごしてきた分、俺より長く生きてほしい。ただそれだけのために、俺は彼女を上手いこと言いくるめた。自分が護れる場所にいてくれるようにした。それがいつか、歪んだ独占欲と呼ばれてもいい。お前が長生きするためなら何でもする。
......白狼と共に誓った。同じ女を好きになっちまった同士、少しでも長く生かすのだと。
｢おいしいねぇ、タバコ。｣
有馬貴将｢だな。吸い終わったら帰るぞ。｣
｢ん、そうする。墓参りとか頼んでいい？｣
有馬貴将｢ああ。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2022年12月4日 23時
