一組目 ページ3
路地裏にひっそり営まれている小さな居酒屋に入る。
いらっしゃいと覇気なく言われ、店内を見渡す。
………予想通り
黒いスーツ姿でミディアムヘア。
彼女は1人でお酒を飲んでいた。
すかさず彼女の近くへ行く。
「隣、いいですか?」
彼女は驚いていた
『私以外にこのお店に人が来た……』
…確かに今は彼女しかお客さんがいない。
そんなに人気がないのか?
すると微笑んで勿論と言ってくれた。
席のぎしりときしむ音と共に座る。
「烏龍茶で。」
煙草を吸いながら新聞を読んでいる店主に言う。
『お酒、飲まないんですか?』
「一応飲めるんですけど、今日は貴女と話したくて」
『ご冗談好きなんですね。』
「冗談じゃないですよw」
『あははっ。』
見た感じ、人に恨みを買う人ではない。
_____なるべく、優しい死に方がいいかな?
なんて考えてると、彼女が話しかけてきた。
『お名前は?』
ここで本名を使うわけにはいかないから、適当に名前を作る。
「七瀬紫音です。」
『紫音さんですか。私は山瀬Aです。』
ビンゴ、この人だ。
「Aさん、素敵な名前ですね。」
『ありがとうございます。』
ニコリと笑うとふわりとラベンダーの香りがした。
「失礼ですが、彼氏とかいるんですか?」
『女性にそんなこと聞くなんて失礼ですよwまぁ1人だけ。もう別れましたけど。』
「へぇ…俺だったらAさんのこと大切にするのに……」
『……冗談はやめてください』
頬をぷくっと膨らませ怒る。
なんだかとっても可愛い……
でも仕事に私情を持ち込んではいけない。
「あはははっ。」
っと適当に笑う。
『……でも、私もまた付き合うなら紫音さんみたいな人がいーな。なんて。』
悪戯に笑う。
すると心臓の鼓動がどんどん速くなる。
……不整脈、不整脈。
すると烏龍茶がいいタイミングで来たので、思いっきり飲み干す。
『…烏龍茶、美味しいですか?』
「まあ。美味しいです。」
『いいなぁ。飲みたくなってきた。』
「飲みますか?」
『あ、いーんですか?いただきまーす。』
そう言って一口俺の烏龍茶を飲む。
『間接キスですね。』
「…あ」
『なんて、冗談です。』
ニヤリと笑い、自身が飲んでたウィスキーに口をつける。
……なんだろう。
この人、殺したくなくなってきた。
184人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
環(プロフ) - ゆいる@べりらわさん» しんさっくー!神じゃないですよw (2021年1月18日 17時) (レス) id: 064e088947 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいる@べりらわ(プロフ) - 環さんの新作…!やっぱり環さんの作品はどれも神作なんですよね…ていうことは、環さん=神っていうことですかね?((( (2021年1月16日 18時) (レス) id: f77fac8613 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 星奈さん» 同担同担☆ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 064e088947 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - 環さん» 私もですっ!かっこいいですよね! (2021年1月14日 15時) (レス) id: 91cc59a311 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 星奈さん» るぅとくん推しです!w (2021年1月13日 20時) (レス) id: 064e088947 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:環 | 作成日時:2021年1月10日 11時