short story

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「ん、ほら入れ。」






『へぇーアイドルって儲かってるんだね。』






「そこそこな。」






『どれ着たらいいの？』





「ん？好きなの選んで試着しろ。」





店内には山のようにある洋服





端から端まで歩き
ラックにかかる服を手当たり次第
店の真ん中にあるソファーに置く




「お前、楽しんでるだろ。」




ニコニコと服を選ぶ姿に喜びを覚える




『こんな状況楽しまない以外に何があるの。』






そこからはファッションショーが始まった





胸元が開いたロングワンピース




カジュアルめなジャケットに
ショート丈のパンツのセットアップ



ダメージの効いたデニムに白のTシャツ



どれを着てもすらっとした体型に似合うが




「なし」




どれも露出が多すぎたり
体のラインがよくわかる服ばかり選ぶ




『ねぇ本当はお金ないんじゃないの？』




「は？」



『さっきから何を試着してもダメって言うけどさ。
買わせる気ないの？』




「金ならある。けどお前が選ぶ服センスねぇ」




『じゃどんなんきればいいのよ？』




店を見渡し気に入った服を君に渡せば



『ねぇ、あんた。ふざけてんの？誰がジャージで
外出かけると思ってんの。』



「こんな高いブランドのジャージを着させてもらえるだけ感謝しろよ。」




『はぁーもう。これ買えばいいんでしょ。』




そう言って服を突き返してくるから
その服を持って店員にカードを渡せば




『すいません。後ここにある服全部お願いします。』




「おい！」



『お金あるんでしょ？買って。』



勝ったとでも言うような笑顔で俺を見つめる。




『このワンピース着て帰ろー』



と言って試着室に戻る君は




これからどれほど手がかかるんだろう。




喜びと呆れが混ざった感情に悩まされた。

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