short story

・Hikaru ページ23

Hikaru.I







少し涼しくなった夏






夕陽に照らされた彫刻のような体が




遠くでもわかるあなたのシルエット







少し寂しそうな背中が夏の終わりを連想させる







夏が終わってしまえば近づいた距離も離れてしまう







浜辺を歩くあなたに近寄れば






「あ、A」





振り向かずに私のことが分かる






少し勘違いしちゃう





「風邪ひいちゃうよ」






綺麗な上半身に見慣れた海パン






「こっちきて」





と引っ張られ彼の腕が私の肩に回る






「みんな照のこと待ってるよ」






再び歩き出した浜辺には私たちだけで









「あいつらは充分話したからいーんだよ」






と笑う姿が眩しくて








目が離せなくなる









「夏が終わっちゃうね…」









「今年の夏はAといれてよかったよ。」







夕日が沈む海は近いようで遠くて







それは私たちの関係のようで









「A…」





私の名前を呼ぶ声が





「おーい！！！！」






と叫んでこっちに向かってくる
ラウールと康二くん





それを追いかけるようにはしゃぐ
佐久間くんと阿部ちゃん





こけるぞーと注意するふっかにだてさん






だるそうに歩くめめと翔太くん






「うわぁーーーーー！」





と抱きついてくるラウールと佐久間くんを





海の中に投げる照





「俺も参加するー」





と康二やふっかが海に走り出す





巻き込まれた阿部ちゃんやだてさん





嫌そうな顔をしてる翔太くんを照が
抱き上げて海に放り投げる







「A？投げて欲しいの？」






とめめが近づいてくる





「まじで！やめて！」





走って浜辺の方に逃げれば






あっさり捕まり
担ぎ上げられて海へ走って投げ飛ばされた





海面から浮き上がれば照がいて






抱きつけば




「ほんと仲良い"(異母)兄妹"だなー」





「うるさいなー！！」





この夏が終わればまた元通り







「お兄ちゃん大好きだよー」





とふざけてみれば





「おい！いくら兄貴でも俺嫉妬する！」






私と照を引き離すめめに抱きついて






「ふふ、めめ大好きだよ。」






と自分に言い聞かせるんだ

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