海のように美しかった君へ【ワンピース】 (ページ30)

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俺たちの中で無限に微睡んでページ30

普通の人間が歩いても、その泥には沈まなかった。今朝方上陸した人間たちだけが、その泥に容赦なく引きずり込まれただけ。後はなんにも引きずり込まれず、ただそこで眠ってるだけ。死人のように。

アイアス｢......小さい体、だったよな。なんであの時と同じ体に服......盾も実体化している？｣

そういえば......バカラという女だったか。あれが先に沈んで、フードの男が俺を抱き上げた。

最初は海のように美しい瞳だったのに、俺に触れた瞬間に赤い瞳に変わった。触れたもの全てを自ら喰らうものとして認識したのか、とにかく気持ち悪かった。

アイアス｢母さん...お母様...｣

たしぎ｢わっ｣

アイアス｢ん？｣

たしぎ｢......アイアス、さん？｣

アイアス｢海軍の女か。護られるだけってのも癪だったし、今度はアンタを護ってやるよ。もちろんお母様と合流するまでだけどな。どれが道でどれが壁だか分からん黒塗り景色も見飽きているから、お前も手伝えよ。｣

たしぎ｢もちろんです！私もみんなを捜したいと思っていたので！｣

アイアス｢キモッ｣

たしぎ｢なんでですか！？｣

この黒も俺たちを喰らおうと覆い被さった泥なのか。そんな感覚はないが、俺たちの本体は今も泥にまみれているのだろう。そしてこのバカ女、ここが現実だと思い込んでやがる。

アイアス｢自分、見失うなよ。｣

たしぎ｢......はぁ。見失いませんけど。｣