黄昏ホテルの女の子2

女の子43 ページ11

大外さん、かなり私のことを高く投げたな…

ふわっとバーの床が迫ってきて──



音子「おらああああああああ！！！」

ズサーっと音子ちゃんがすべりこんでくる。

『うわぁっ』

力の入らない私を見事キャッチした音子ちゃん。

『なんれここに？』

必死に口を動かして聞いてみる。

音子「大外さんが部屋にいなかったし、Aさんも部屋にいませんでしたから、バーで不味いことやってるんじゃないかと思いまして…！」

にゃーっと笑って、大外さんの方を見る音子ちゃん。


悟希「調子乗るんじゃねえよ！誰に許可取って俺の妹に触ってんだよ！！」

大外「警戒心が無いからね…教えてあげようと思ったのさ。」

お兄ちゃんが大外さんに向かって殴りにかかる。

だが、大外さんも大外さんで避けたり、お兄ちゃんを殴ったりしている。

ごふっと言う鈍い音に、なんだか昔のことを思い出す。





あれは…





中学の時だ。




中学からおかしくなったんだ。









喉まででかかった言葉。

──やめて



いつか、いつか言った気がする。




でも、あまりにも無力な私には止めることなどできなかった。





思い出せ。




思い出せ。









あの時と同じ様に声を出せ。





ひゅっと息を吸い、呂律が回ってないであろう口で…









ぴりぴりとした空気の中に、




『やめてええええええええ！！！！』


私の叫びが響いた。

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