花22輪 過去 ページ36
電車に飛び乗り、赤黒いシートに腰掛ける。
艶やかに光沢を放つシートは、少し眩しかった。
ここからは、1時間と少しかかる。
少し、寝ていこう。
私今日疲れてるし…しかももうほぼ夜だし！
寝よう、うん、寝よう！！！！！
*
〜遡ること9年前〜
『おねえちゃん、このてまり、きれい！』
姉「これはお母さんが小さい頃から使ってた大切な手毬なんだって。だから大切にしなきゃダメよ？」
『はーい！』
白石家の庭で、私達2人はよく遊んでいた。
手毬で遊ぶのはとても楽しくって、時間を忘れてしまうほどだった。
姉「…っ…ごほ」
『…！おねえちゃん、だいじょうぶ、？きょうは、もうおやめになる？』
姉「…そうね…お母さんのお手伝い、しましょう」
お姉ちゃんは生まれつき身体が弱く、よく咳をしていた。
お医者さんは治らない病気ですとは言っていたけど、特に命に支障がある病気ではなかったみたい。
*
夏のある日、お姉ちゃんと私で近くの川に遊びに行っていた帰りのことだった。
姉「A、いまは軍の方達が日本を引っ張っていってくれるから、言うことを聞かなくてはダメよ」
『…？いいこにしてればいいの？』
姉「そう、できる？」
『うん、あたしできる！』
姉「さすが！私の妹！」
この時、お姉ちゃんは少し苦しそうな顔をしていた。
今思い返せば、お姉ちゃんも相当特高隊を怖がっていた印象がある。
哲先輩のように優しい人たちもいれば、
大和君のように厳しい人たちもいる。
つまるところ、特高隊の人達も、それぞれ同じ人間なんだ。
でも、確証はないのに罪のない人たちを拷問したり、脅したり、
国のためにと市民から物資を巻き上げたりするのは少し違う気がする。
こんなこと特高である私が言っていいことではないけど、やっぱりおかしい。
*
家の前につき、私とお姉ちゃんは顔を見合わせた。
姉「お母さん、驚かしちゃおっか」
『…！うん、！』
悪戯っ子でもあるお姉ちゃんが、にやりと笑う。
お姉ちゃんはどんな顔をしていても可愛いから、いいな。
姉「じゃあ、私は裏口から攻めるので、君は正面から頼む！呉々も音は立てないように！分かったかね、Aよ」
『はい！しょうぐんさま、このあたし、このみをささげていざゆこうではありませんか！』
二手に分かれ、家の中を覗いたその瞬間、どちらが先にあげたのかは分からない。
ただ、悲鳴が響いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちぃ。(プロフ) - 相変わらず大和くんかわゆい…！！ドチャクソラブラブ展開期待してます…！！← 更新頑張ってください！！応援してます！！ (2019年8月15日 17時) (
レス) id: 5843fdbea0 (このIDを非表示/違反報告)
雅みんと(プロフ) - Momo_Tarouさん» とても嬉しいお言葉どうもありがとうございます！本当に嬉しいです！更新遅くて申し訳ありませんが、頑張りますので、これからもこんな小説で良ければ楽しんでください！ (2019年8月10日 14時) (レス) id: 44f76e690d (このIDを非表示/違反報告)
雅みんと(プロフ) - 透さん» はじめまして！透さんこんにちは！そりゃもう運命ですね！なんて素敵なのでしょうまさかこんなに大和君推しがいるなんて感激ですよね！！長文ありがとうございます！嬉しいです！これからも頑張らせていただきます！！ (2019年8月10日 14時) (レス) id: 44f76e690d (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - はじめまして！！もう、この作品が好きで好きで…この作品を作ってくれて、本当にありがとうございます！！！これからも頑張ってください！！応援してます！！！！ (2019年8月7日 22時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - はじめまして透ともうします！私、大和大好きなんです！作者様と同じなんて運命ですかね(笑)そして私と作者様以外にも大和好きな人がいるなんて運命ですね←言い切るな ですから更新頑張ってください！期待してます！応援もしてます←語彙力ないそして長文失礼しました (2018年9月16日 23時) (レス) id: 5925c39507 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鬼堂の狐 | 作成日時：2018年2月16日 18時
