【d!】私の某乙女ゲー転生記【逆ハー】 (ページ4)

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3話『伊勢海老ってなんか強そう。』ページ4

「おー、桜綺麗だな。」

無数の花びらをまいて、堂々と立ち並ぶ桜の木々を一望して私は感動の意を口にした。感動する私とは打って変わり、鬱先生は興味が無いらしく飽き飽きとした態度を私に見せつけるように空を見上げている。

そんな彼を無視し、私は一本の桜の木の根本に近づき、スカートが土につかないよう足に挟んで屈んで言った。

「死体とか埋まってねぇかなー」

「埋まってるわけないやろ、何処の木も色おんなじやん。」

私は、確かに…、と納得したことをアピールするように呟き、地面に手をついて立ち上がった。すると、いつのまにか背後にいた人間に話しかけられた。

「すみません。もしかして新入生の方ですか？」

私は肯定の意を首を縦に振って示した。

そして、話しかけてきた彼は透明な目、薄い茶色の髪、真っ白な肌、茶色いループタイをしていた。名前は、おそらく…エーミール。彼は某乙女ゲー公式サイトに、生徒会所属で帰宅部の本好きな青年、と記載されている攻略対象。

出会いは図書室でのとある依頼が原因となるはずだが、何故…って、あぁ、隠しルートがあったんだ。鬱先生との確率イベントとルート分岐イベントを引き起こして登校時間を遅らせ、生徒会長に見回りを頼まれたエーミールと出会う、隠しルート。ちなみに、この隠しルートはエーミールの本当の過去が見れたり、一枚絵が多かったり、分岐が多かったり、と楽しい要素が満載で本ルートよりお得。鬱先生との確率イベを起こすためにリセマラしてたりしたが、めんどくてこの隠しルート行ったの4回ぐらいしかねぇな…。一発でこの隠しルートを当てた、あの2D系配信者…元気にしてっかな。

「そうなんですね。入学式は10時からなので、クラスの教室に荷物を置いて体育館へ行ってください。」

「はーい。ところで…貴方、名前は？」

「エーミールですが、何か…？」

「なるほど、二年生ですか？」

「えぇ、そうです。」

「ふむふむ…それでは、ありがとうございました！」

短い言葉を交わし、私と鬱先生は玄関へ向かった。

.

「お前、急にどうしたん？恋？」

「ちっげぇよ。名前のスペルが気になっただけだわ。」

「だよな、お前に恋愛とか100万年早いと濃々感じてたわ。」

「ずいぶんと失礼だなお前。」

だから第一ボタン閉めろってお前。全俺が死ぬぞ。