1話『いきなり寿司』 ページ2
まさかの、朝起きたら乙女ゲームの世界へ転生していた。
「ユミ、おはよー。」
目を覚ませば目の前には紺色の髪で右目を隠した青年が、私に挨拶をしていた。何処か見覚えのある顔をしているが、私の寝起きの頭では思い出すことができなかった。
私は動揺しながらも挨拶を返す。
「ぁあ、おはよ…？」
「何で疑問系なん、はよ準備せんと遅れるで。」
青年は控えめに笑い、私なベッドから一歩後ろへ下がった。
起き上がって青年を見てみると、第一ボタンが開いた白いYシャツに赤いネクタイ、ベージュのベストに紺色のブレザーを着ている事が分かった。その姿はまるで某乙女ゲームに出てくる攻略キャラクター件、幼馴染系サポーターの鬱せ…ん？
もしや、私は某乙女ゲームの主人公に憑依した可能性アリ？とりあえず、試してみようかな。
「私は二度寝するの…ママ、起こさんといて。」
「何でやねん。はよ起きろ、ってお前！」
二度寝をしようとしたところ、私が被ろうとした布団を青年が引っ張り止めてきた。私も応戦し、綱引きのような状態になる。
某乙女ゲームでは此処で、鬱先生が綱引きに勝って布団と共に主人公が飛び、鬱先生が受け止める展開だったはず…少なくとも私が周回したことのあるルート達だと。
「おぁっ！」
「あるぇ…？」
綱引きに私が勝ち、鬱先生が私の方向へ吹っ飛んできた。
乙女ゲームパワーと言うのか、吹っ飛んできた鬱先生は私の閉じた両脚の外側に膝を折って脚を付き、行き場のない腕は私の肩の上に乗って手を閉じ、胸の辺りが私の顔に押し付けられるようになっていた。
これなんてギャルゲー？
「あー、っと…重いやろ、今どくな…？」
鬱先生は気不味そう、または恥ずかしそうに目を逸らして私の肩に手を置いて立とうとしている。
だが、それより私は気になることがある。
「いや、私の財布より軽いし大丈夫。マジで食生活息してる？」
多分、高校生のシンデレラ体重より余裕で軽いと思う。もはや骨だべ。
「え、軽すぎん俺…？食生活は一応しっかりしとるけど。」
「マ？今日の帰りマッ…ワックよろうぜ。」
「ユミの奢りな。」
「おっけー、任せろ。リビングからパチってくるわ。」
主人公は年中金欠、なんでリビングにある親の財布の中身をパチるミニゲームがあるし、なんならそれが公式の金の稼ぎ方である。
「目ぇ覚めたし起きるわ、とりま着替えっから外出といて。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：??めうめう?? | 作成日時：2022年6月16日 3時
