Liz

29．落とし物 ページ34

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結局その日はさっさと寝てしまって、気づけば朝だった。寝起きのまま遠くに響く鳥の鳴き声を聞き流す。


マリはまだ寝ていた。
想像よりも寝相が悪くない。


枕元のスマホだけポケットに突っ込んで、まだ直視できる朝日をぼんやり見ていると、不意に何かを感じた。

何とも言えない、慣れない感じの気配みたいなもの。


きょろきょろと辺りを見回してみるが、私たち以外には人はいないし、特に変わったところも見られない。

自分一人では特定することができず、でもただの気の所為だと済ませられないと思って、カイを呼びに行った。


カイはすでに起きていて、寝転んだままスマホをいじっていたが、私の話を聞いて何かを考えるような表情をした後、外に出た。


「確かにね。お前やっぱり魔法使いだよ。大して近くもないのに気付くなんてさ」

「何に…？」


「誰かがどっかで魔法使ってんだよ。朝っぱらから何やってんだろ、ほんと懲りないよなぁ」

溜め息をつく。

「普通に人を助けてる魔法使いの魔法と、AMの魔法は違うわけ。悪意とか、憎しみとか、そういうのが魔法に表れるし、そもそも大抵は魔法力が半端じゃないんだよな。暴走してたらAMだと思った方がいいよ。」



魔法というのは、痕跡が残るらしい。けど痕跡を感知できるのは限られた魔法使いだけで、魔法の痕跡を消せるのも一部の魔法使いだけらしい。

「魔法を辿れるとすげー便利らしいよ。追いかけるのにも逃げるのにも役に立つしそりゃそうだよね」


カイは何か他とは違う能力を持ってはいないのだろうか。よく羨ましがってるから気になったけど、もしなかったらと考えると聞けなかった。


「で、どーする？行ってみる？相当無謀だと思うけど」

自分で無謀って言っといてなんで行くという選択があるんだろうと思ったけど、私は何故か頷いてしまって、私たちはマリも連れて魔法が暴走している方へ向かったのだった。


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