あったことも聞いたこともないけど ページ9
ナイトサファリでは十分に楽しみ、やけに高級な店で夕食を嗜み
遊び歩いただけだと言うのにやけに疲れた体をホテルのベッドに投げた
『明日はマリーナの方に行って海で遊んで、明後日はマーライオン見てから空港行ってそのまま帰って……遊びの予定なのになんか疲れてくるな…』
しかしまぁ、順平達も何かと楽しそうにしているし、これはこれでいいか
そんなことを考えていたその時
携帯に着信が入る、上体を起こしてその電話に出るために画面をスライドすると
そこには「父さん」の3文字が並んでいた
なんの用だろうと思いながらも電話に出ると
電話越しからは昼間も聞いたダンディで静かな声が流れる
「[急に電話してすまないね、今少し話してもいいかい]」
『別にいいけど、どうしたの?』
「[いやなに、順平くんの事だよ]」
父さんのその言葉に、一瞬の沈黙が流れる
ボクはベッドから起き上がってベランダに出て、おもむろに夜景を眺めながら
ぽつりと言葉を連ねる
『どうもこうも、順平はボクの恋人だよ。愛してやまない人だ』
「[一時期は遊び歩いていたと思えば……今度はよほど惚れ込んでるみたいだね]」
『うん、順平以外なんもいらないって思えるくらいには大好きなんだ、』
「[けれど、それを抱えるには呪術師じゃ辛いと思わないかい?]」
父さんの言葉が静かに胸に刺さる
順平のことは守るつもりだし、ボクも死ぬつもりは無い
けれど確かに、呪術師という職業において、愛というのは枷になる
「[そこでだが、父さんの仕事を継ぐ気は無いかい?]」
『父さんの?』
「[あぁ、ただ定期的に呪霊の視察をするだけでいい、何も危ないものは無い、順平くんと一緒にここに残っていかないかい?]」
魅力的じゃない、そういえば嘘になる
身の安全も保証されて、それなりのお金が稼げて、何も困るものは無い
きっと、幸せに生きていられる
けれどそれは、彼が望むだろうか
順平は悠仁や他の仲間を置いてまで幸せを欲しがるような人間ではない
だから、ボクの答えはただ一つだけだ
『ごめんね、嬉しいお誘いだけど、ボクが望むのは安心安全の幸せじゃないんだ、順平が居ればどこにいたって幸せだよ』
「[そうかい……でも、死に急ぐようなことはしては行けないよ、きっと母さんも悲しむ]」
『母さん……か』
ボクを産んで間もなく死んだという母さん
もしかしたら母さんも、こっち側だったのだろうか
そんな思いを胸に、電話を切った
やっぱり耐えられないラインってあるんですね→←これって早めの新婚旅行では????
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るぅ - シリーズの初めから見させていただいています。本当に面白いです!私はオリジナルを挟みつつみんなを守る(渋谷事変とか)ようなストーリーが見たいです。もちろん順平は守りつつ! (2021年4月2日 21時) (レス) id: 652744ebae (このIDを非表示/違反報告)
紅丸(プロフ) - 小日向。さん» 柊くんの怪我ネタネタですね!ちょうど下書きに似たようなものがあったので出させていただきます! (2021年4月2日 15時) (レス) id: a89c7750fe (このIDを非表示/違反報告)
推しの幸せを捧ぐオタク - またリクエスト良いでしょうか?呪霊の呪いによって順平君の一人称が名前になってしまったら…(「僕」=「順平(ひらがなでも良し!)」)と言うのを見てみたいんです。きっと可愛いだけじゃ済まさない位可愛くなるんだろうと思うんです…! (2021年4月1日 16時) (レス) id: b126daf9ba (このIDを非表示/違反報告)
せう(プロフ) - モチベ〜〜〜上がってくださいーーー!!!(( (2021年3月31日 23時) (レス) id: 71865eb671 (このIDを非表示/違反報告)
るるむ - 全然関係ないですが個人的には順平だけを守るために高専に入った夢主くんだったけど気づけばみんなのことも大事になってたみたいな更なる成長がみてみたいです! (2021年3月26日 13時) (レス) id: ddfa373cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅丸 | 作成日時:2021年3月9日 7時