吉野順平ガチ勢が原作をぶっ壊す話3

いやいやあのタイミングじゃ照れてるって思うのも仕方ないと思うんだ！！ ページ13

｢な、なんで…キスしたの…｣


船室の中、ぱっと回した腰から手を離せば、順平がふとそんなことを訴えてくる

本人は睨んでるつもりなのかもしれないが、少し赤く染った頬で睨まれたとて

正直可愛いだけだ、猫に威嚇されても可愛いとしか思えないあれだ


『ごめん、可愛かったかr((じゃなくて、した方が恋人ってわかりやすいから』

｢うん、本音ほぼ言っちゃってるね｣


船室を巡回するスタッフから貰ったジュースを飲みながら

順平はそう言ってため息を着く


『あ、順平、サーモンにキャビアが乗ったやつあるよ。食べる？』

｢うん…｣

『ソースはシーザーでいい？』

｢…うん……｣

『…順平？』


ふと、問に対する返答の口ぶりがたどたどしいのに気がつく

発音の難しくない｢うん｣の一言なのにも関わらず、呂律の回っていないようなその口調に

不安を募らせながら彼の方を見やると、ほんのり薔薇色に染る頬に

ぽやっとした眠たげな表情を浮かべる順平の姿があった


『順平眠い…？船室1個借りてそこで寝る？』

｢眠い…のかな、わかんない…でもなんかポカポカする…｣


少し虚ろに細められたその瞳から熱でもあるのかと疑ったが

順平が手に持っていたグラスで違う考えが頭に浮かぶ


『順平…ちょっとそのグラス貸して』

｢え…？うん｣


順平から手に取ったグラスの中に揺れる紫色の液体

ドリンクの中には葡萄ジュースもあったため何も疑わずに飲んだのだろうが…

そう思いながらグラスを口元に持ってきて少し傾ける

その香りと舌の上を走る味わいに、ボクの予想は核心へと繋がった


『順平、これお酒だよ。しかもワイン』

｢お酒…？｣

『ワインは度数強いし…、とりあえず部屋借りよう。気分が悪くなったら直ぐに言って』

｢うわっ…？！A…っ…人が見て…｣

『いいから』


酒が回っていてもやはり羞恥心があるのか、順平を抱えあげるとそう声を上げる

思えば最初に順平がキスしたことに対し抗議した時には、既にワインを摂取していたのだろう

頬が赤いのは照れているのかと思って浮かれていた、ワインも出回っているのだから

ちゃんと注意を払うべきだった

そんなことを考えながらスタッフから借りた部屋の鍵を使って部屋の扉を開き

簡易的なホテルのようなその部屋のベッドに順平を寝かせる

水でも持ってこようかと離れるために顔を上げたその時

ボクよりも華奢な手が、スーツの裾を掴んでそれを拒んだ

卑劣なことはしたくないけどこればっかりは譲れないな？！→←推しに恋人宣言されたしそろそろ式場決めに行こっか

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