とある魔導師と名探偵のお話 (ページ3)

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『困ったわね…』

この街へ到着してまもなく、何かに邪魔をされ“探し物”の反応が忽然と消えてしまった。
その日の内に上司であり友人でもある部隊長に報告したところ、再調査の命令がくだったため翌日から開始するも一向に消息は掴めなかった。
流石に5日探しても動きがなければ諦めるべきだろうか……と、眉をハの字に下げながら溜め息を溢していた。

「マスター、一度休憩を摂ることを勧めます」

自身の持つ十字架の形をしたデバイス──ラスティネイルから提案を受け、一度落ち着かせるためにも休憩すること決めたのだった。

『ラス……そうね、一度落ち着いてからもう一度探そうか。そうと決まれば………あそこの喫茶店がきっと美味しいわ！』

視線の先に見つけたお店“喫茶ポアロ”の扉を開け、入店すると褐色の肌をした男性が案内してくれた。

「ご注文はお決まりでしょうか？」

『パンケーキと紅茶で。』

“かしこまりました”と店員が厨房へ向かったのを確認してから端末を取り出し、地図と位置を見ながら難しい顔をしていた。

『ねぇ、ラスティネイル…もしかして“あれ”は誰かの手に渡ったのかしら。』

「その可能性はゼロではありません。」

『うーん………あれ、はやてから……？はい、Aです。どうしたの？』

店内と言うこともあり、声量を抑えながら通信に出ると焦ったような声が聞こえてきた。

「Aちゃん、今いるとこって米花町であってたよね？至急米花町にある大型ショッピングモールへ向かってほしいんや！」

◇

八神はやて
Aの所属する部隊の部隊長。