episode 39 三水吉右衛門 ページ42
×××
「オォー!!」
お堂の真ん中の、大きな柱が上下に割れ、中から登場した麒麟。皆は興奮気味にその姿を見る。
「これが麒麟ですね!」
「かっちょいー!」
「じゃあ、頭に付いてる黄色い宝石は…」
「麒麟の角って呼ばれてる琥珀だろーな」
と、口々に話す探偵団。確かに麒麟も凄いが、私は先程の音について確認を取ろうと口を開く。しかし、その言葉は大人の大声に掻き消された。
「ねえ光彦く…」
「よーし、閉じろ!」
「はい!」
隊員の人達が一斉に四つの鍵を回す。次郎吉さんは、このように台座の鍵を四つ同時に回さない限り麒麟の角を拝むことはできないと説明した。つまりはキッドが次郎吉さんから鍵を奪い、四人に分裂して柱を開けでもしない限り今回の犯行は不可能という訳だ。
「もしかして、この仕掛けを作ったのって……」
ふと光彦君がそう言いながら次郎吉さんを見上げる。
「もちろん、幕末の絡繰り師…」
「
答えようとした次郎吉さんの声を遮ったのは、コナン君だ。
「あ、あぁ」
「柱の根元に書いてあるよ! “正しき理に拠らず麒麟を求めんと欲する者移ろ
柱の根元を見ながらそう言うコナン君。私もコナン君の横に並んで柱に掘られた文字を観察した。
「本当だ。この意味って?」
「それはまだじゃが……この四つの鍵が儂の手元にある限り、大丈夫じゃ。盗られやせんよ!」
と、豪快にまた笑い始める次郎吉さん。そんな様子を見ながら私は掘られている文字の凸凹を触る。特に何の仕掛けも無かったが、この文章の意味を理解する事で何か分かることがあるのは確かだろう。
“正しい方法に頼らずに麒麟の角を手に入れたい者は流れに身を任せろ”簡単にするとあの文章はこうなる。つまり、正しい方法──鍵を頼らずとも柱を開ける方法はあるということだ。
もしそれをキッドが掴んでいたら、いくら鍵と鍵穴を必死に守っても意味は無いだろう。かと言って、“流れ”というのが何の事かが全く分からない以上、これ以上の解読は私では望めない。
ちらりと柱を見て考え込んでいるコナン君を見たが、何か分かったような顔では無かった。
×××
また間が空いてすみません。
これからも不定期更新になりそうですが、作品を放棄することはしないので、よろしくお願いします。
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瀬天心葉(プロフ) - わっ、これ好きです!夢主ちゃんとても可愛いですね!これからも頑張ってください! (2020年2月18日 19時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
せろり。(プロフ) - 神作の予感しかしません。どうしたらいいでしょうか← (2020年1月12日 22時) (レス) id: b178d32fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小紅 | 作者ホームページ:Twitter @kobeni_yume
作成日時:2020年1月12日 14時