episode 28 しりとり ページ31
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「はーい!じゃあ皆でこの漢字を空書きしてみましょう!さんはい!」
「いーち、にー、さーん……!」
私がここ数日頭を悩ませている議題、単刀直入に言うとそれは快斗君が怪盗キッドかどうかという問題である。
あの日、あんな時間にやけに地味な格好で挙動不審だった快斗君と、その直後に起きた怪盗キッドの盗み。
それだけ、たったそれだけの事だが、私の中ではどうも引っ掛かりが取れなかった。あの焦った顔がどうも頭から離れない。
「じゃあ、漢字ドリルを書いて練習してください!三分経ったら次の漢字に移ります!」
快斗君の潔白を自分自身で証明して納得するためにも私は怪盗キッドを調べる事にしたという訳だ。
しかし、調べれば調べるほど快斗君の怪しさは増していく。遊びに誘い、用があるからと断られた日と犯行日が重なっていたり、キッドが逃亡に苦戦した日は快斗君は学校を休んでいたり。
マジックが得意という点でもキッドと快斗君は共通している。
「んー……」
「どうしたんだ?腹でも減ったか?」
思わず唸ると、横から元太君が心配そうに見てくる。腹でも減ったか?という問いは食いしん坊な彼らしい。
「何でもないよ、ちょっと考え事」
そもそも、キッドの人物像である“紳士的”“キザ”と快斗君の人物像はまるで真逆だ。それに、マジックができる若い男性だって快斗君だけでは無いはずだ。
「……」
私が思考に没頭していると、クラスの皆がドリルに書いている鉛筆の音の中で一際大きい音が耳に入った。
──ツーツートンツートン ツーツートン トントンツートントン ツーツートン──
モールス符号で、しりとり、の意味になる音の羅列。モールス符号は習ったことがあるのですぐに分かった。偶然だろうか。好奇心でさらに耳を澄ませる。
──ツーツートン ツーツーツートンツー──
りす。しりとり、りすだ。私は試しに、鉛筆で同じように音を出す。
──ツーツーツートンツー ツーツーツートンツー トントン ツートントントンツー──
すずめ。するとまた少しして、音が聞こえた。
──ツートントントンツー トンツートントン トントン ツーツートンツー──
めがねだ。私は、この教室内でモールス符号でしりとりをしたという事実にすっかり気を取られ、怪盗キッドの事は頭から消えた。
音のした方を振り向くと、少し驚いたような顔をしているコナン君と目が合った。
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瀬天心葉(プロフ) - わっ、これ好きです!夢主ちゃんとても可愛いですね!これからも頑張ってください! (2020年2月18日 19時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
せろり。(プロフ) - 神作の予感しかしません。どうしたらいいでしょうか← (2020年1月12日 22時) (レス) id: b178d32fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小紅 | 作者ホームページ:Twitter @kobeni_yume
作成日時:2020年1月12日 14時