episode 25 チクリ魔 ページ28
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「明朱麻衣子です。明るいの明に朱色の朱で、アケアカです。今日からこの一年B組で一緒に勉強します。よろしくね」
要るのか要らないのか微妙なところだと自分でも思う説明をして、にっこりと微笑む。笑顔は信頼の基本だ。
「かわいー!」
目を輝かせて私を見て、口々に可愛いとか何とか褒めまくっているクラスの子達。そんな中、元太君や歩美ちゃんが音を立てて立ち上がり、驚いたように私を見る。
「麻衣子ちゃん!?」
「おまえ転校生だったのか!!」
「あはは、皆昨日ぶりだね」
私は昨日子供達が遊んでいた場所などから大体の予想は付いていたので驚かなかった。
「知り合いなの?じゃあ、皆に早く馴染めるように、明朱さんは元太君の隣の席にしましょうか」
そんな小林先生の計らいにより私は元太君の隣になった。机でランドセルの中身をゴソゴソと片付けていると、横の元太君は不満そうな顔をする。
「おまえ、帝丹小来るなら言えよな〜」
「ごめんごめん……お?元太君机の中でプリントがごちゃごちゃだね」
「う、うっせー!」
ごちゃごちゃ言いながらも早速一時間目の授業に突入する。算数だ。二桁の足し算、繰り上がりの足し算などの寝ながらでもできそうな問題の繰り返し。
昨日遅くまで調べ物をしていた事もあり退屈がピークに達した私は前の席の子が大柄なのを良いことに頬杖をついて寝始める。この体制だとバレにくいのは長年の経験上把握済みだ。
「……せんせー、明朱さんが早速寝てまーす」
……把握済みだ。
「え?あ、こら、明朱さん!」
「……ごめんなさい」
反省してる風に謝り、斜め後ろの席に座って白々しい顔をしているチクリ魔……コナン君をじとっと睨む。目が合うと、してやったりという顔をされた。
慣れない環境で疲れちゃった系か弱い転校生をどうしてこうも簡単に先生に売れるのだろうか。これが子供の残酷さというやつか。
仕方なく目を開けて心の中で明朱麻衣子についての設定を確立させたり、無心で素数や元素記号を数えたりしているうちに、ようやく放課後になった。
これをこれから毎日繰り返すとなると少しきつい。何か授業中の暇つぶしを考えないと。
「麻衣子ちゃん!一緒に帰ろう!」
「お家はどの辺にあるんですか?」
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瀬天心葉(プロフ) - わっ、これ好きです!夢主ちゃんとても可愛いですね!これからも頑張ってください! (2020年2月18日 19時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
せろり。(プロフ) - 神作の予感しかしません。どうしたらいいでしょうか← (2020年1月12日 22時) (レス) id: b178d32fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小紅 | 作者ホームページ:Twitter @kobeni_yume
作成日時:2020年1月12日 14時