-Episode80- ページ32
建物から出るとタイミングよく補助監督の一人が通って行く。
私の姿を見ると尻餅をついてしまった。
「状況の説明をお願いします」
手を差し出しながら言うと我に返ったのか口を開いた。
状況説明を用意してくれた車内で聞く。
私は植物状態で高専に戻って来たが上層部の指示であの部屋に閉じ込められていたらしい。
その間、任務は悟と傑が引き継いだ。
同化の日、高専に戻って来た悟達を高専に侵入した男と対峙したが負けた。
勿論、天元の同化は失敗。
まぁ、その人物が誰かなんて分かっている。
現在、星漿体、天内理子の遺体は盤星教本部へと運ばれているらしい。
その場に悟が向かった。
今の状況はこうらしい。
「夏油傑は」
『数分先に本部へと向かいました』
深い溜息を吐くと補助監督の肩が跳ねる。
私の失敗だ。
あの時、天逆鉾が出てしまった事と背後の仲介人に気づかなかった事。
後悔してもあの時は戻って来ない。
今はどうこれからの未来を作っていくかだ。
車が盤星教本部に止まる。
すぐに車を出て走った。
半壊している建物が目に入る。
一つの建物の扉が開くとそこから出て来たのは悟と傑だった。
姿を見た瞬間に私の体が凍ったように冷たくなる。
私が知っている悟じゃない悟がいたから。
これが無下限と六眼の抱き合わせの先。
あの男が死に際でも出来なかった。
五条「A」
六眼と目が合う。
恐怖に言葉が上手く出ない。
ただ口だけが動くだけ。
息が上手く出来ない。
苦しくて胸の辺りを強く握ってしまう。
夏油「悟、先に帰ってくれ」
五条「あァ」
少し距離が離れた瞬間、全身の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
「何あれ」
夏油「何があったか分からないだけど悟は最強になった」
隣にしゃがんだ傑が私の肩を抱く。
「傑」
夏油「……」
「怖い」
感じ、思っていた重たい言葉を吐きだすと少しだけ体が軽くなった気がした。
夏油「Aちゃん」
「呪術なんてなくなればいいのに」
そう小さく呟いた。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年9月2日 9時
