-Episode77- ページ29
すぐに体を反転させ逃げようとしたら聞き覚えのある音が閑静な住宅街に響き渡る。
鉛の弾が頬を掠ると生暖かいものが頬を伝った。
必死に電柱の裏に隠れる。
「ど、どういうこと！」
すぐに近衛Aに話し掛ける。
『まずいな』
「まずいって早くどういうにかしてよ！」
『無理だ』
「はァ！？アイツ、なんで私の事を狙うのよ！」
甚爾「金だよ」
至近距離で聞こえた声に顔を上げると笑っている男。
口元には傷。
そして肩には気味の悪い呪霊。
またしても私の頭に銃口を向けられる。
発砲音が鳴ると発射された鉛の弾は左肩を貫く。
激痛が走るがすぐにその痛みは消える。
甚爾「あーこれは骨が折れる仕事だな」
左手が上げるといつの間にか手に刀が収まると私の体は勝手に動く。
片腕でここまで動けるのかというぐらいに男に刀を振り下ろす。
これが呪術師全盛期に最恐と言われていた近衛Aの動き。
しかも術式無しでこの動きだ。
だが男は余裕な顔をしたままだ。
なんなんだこの男。
甚爾「誰だ、お前」
お互いに距離をとると向こうから言われた言葉。
「私も貴方の事は知らない」
甚爾「おめェじゃねェよ。中にいる奴だ」
その言葉に心臓が跳ねた。
甚爾「あの癖ある動きを出来るのは一人しか知らねェ」
黙っていると男は肩に乗せている呪霊から何かを取り出した。
向こうも同じく刀。
すると私の左腕は刀を硬いコンクリートに差し、男の持っている刀に手招きした。
刀が不自然に揺れ出し、男の手から飛び出し私の手に収まる。
『近衛家は呪具を作った一族。全ての呪具は私のだ』
某国民的アニメに出て来るキャラのように流暢に言っていたのが頭に過ぎった。
男は深く溜息をついて降参の様なポーズをする。
諦めてくれたかと思った矢先物凄いスピードで男がこちらに向かって来た。
本当に人間なのか。
すぐに刀をコンクリートから抜き、刀身で拳の打撃を受けるが重たく片手一本じゃ飛ばされてしまう。
コンクリートの上を跳ねながら転がる。
逆さま状態で目を開けると顔の近くまで拳が迫って来ていた。
「わッ！」
すぐにコンクリートに手をついて体を反転させ距離をとる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年9月2日 9時
