-Episode75- ページ27
「初めまして、鵜久森Aです」
教壇の上で自己紹介をする。
目の前にいる女子生徒達の視線が痛く、目を背けてしまう。
『鵜久森さん、席はあそこね』
「はい」
一番後ろの左端、その隣は監視対象の天内理子。
机と机の間の通路を通り、席に座る。
『では、授業の準備をしておくように』
先生が教室を出て行く。
天内「天内理子。よろしくね」
向こうから話しかけてくれた。
「こちらこそよろしく。理子ちゃん」
黒井「理子様、次の授業は…」
天内「分かっておる。A、次の授業は移動教室だから一緒に行こ」
「う、うん」
すぐに用意された教材を左腕に抱え、席を立つ。
どの教室に行くのか分からないがただ白を基調とした廊下を歩く。
高専とは全く違うからか至る所を見てしまう。
天内「そんなに珍しい?」
「前にいた学校は昔ながらって感じだったから」
天内「へェーどんな学校だったの?」
「宗教系の学校だからかそんなに一クラスの人数も多くないし、先輩達はクズだし」
天内「此処に来たのは家庭の事情とか?」
「それと右腕の事もあってね」
天内「ごめん」
「ううん、気にしないで。これもただの事故だから」
その後も徐々に距離を縮めれるように沢山の話をした。
好きな食べ物。
休みの日には何をしているのか。
「どう思う?」
昼休み、校舎裏の人気が全くいない所で近衛Aに話かける。
『どう、か』
「何か感じたりとかしないの?」
『生憎、私は感知には鈍くてな』
「はァ!?」
思わず大きな声が出てしまったのですぐに辺りを見渡す。
『ただあの娘と一緒にいるだけでいい』
「やっぱり何か知ってるんじゃん」
何も答えなかった。
溜息をついてからコンビニで買ったパンを食べていると目の前にある柵の向こうにスーツを着た男が一人。
学校内を見ている。
怪しい。
『少し体を貸せ』
「え?ちょ、えぇ!?」
意識が遠のく。
「んー!」
背伸びをしながら柵に近づくとスーツの男が私に気づく。
「あのー何か御用ですか?」
孔時雨「ちょっとある生徒さんを探していてね。あー別に何かしようとしてる訳じゃない」
微かに残る、知っている人間の匂い。
コイツ、黒だな。
天内理子、星漿体を狙ってる。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年9月2日 9時