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-Episode61- ページ13

「知らなくていい…か」

頭に残っていた言葉がつい口から零れて出てしまう。

あれから数日経った任務は珍しく灰原と七海との三人だった。

二人は寮に入っていたが私はなんだか散歩したくて桜並木の下を歩いている。

もう葉桜になってしまった。

街灯に集まっている蛾達の数を数えていると扉の開く音が聞こえる。

音のした方を見ると旧寮のベランダが開いていた。

窮屈そうに背を縮ませながら出て来たのは五条悟。

入学の時もあそこにいたな。

少し離れたベンチに座って様子を伺う。

ベランダの柵に肘をついて上を見上げていた。

何が見えるんだろうかと私もつられて見るが何も見えない。

ただの星が少しある夜空。

また視線を五条悟に向けるとまだ見続けてた。

その姿はどこか普段の彼からは考えられないぐらい寂しさが滲み出ている。

医務室で見た時のように。

夏油「悟はね」

急に聞こえた声に振り返ると気配もなく夏油さんが私の隣に座っていた。

驚きに声を上げそうになると夏油さんの大きな手が私の口元を押さえる。

夏油「私達が一年生の時に二年生だった先輩がいたんだ」

口元を覆っていた手が離れていくと今度は、手にコーヒーの缶を握らされた。

「その二年生は?」

夏油「特級呪物の回収に行って殉職した。遺体も無い」

「そんな…」

夏油「彼女には五条家と深く関わりのある呪いをかけられていてね」

「呪い」

『そう』

今まで話してくれていた夏油さんとは違う声が近くで聞こえた。

夏油さんの顔を見ると驚いている。

「誰」

『初めまして鵜久森A。私の名は、近衛A』

同じ名前。

何処から声がと下を向けば影が笑っていた。

五条「どうなってんだよ」

いつの間にか五条悟が目の前に。

『どうもこうもこやつが体をくれぬのだ』

長い黒い手に指差される。

夏油「今までとは違うからでは?」

『確かに傑の言う通りだ。今までは赤子からだった』

夏油「悟との縛りを破ったから、か?」

五条「そうだろうな」

五条悟が私を見る。

『悟、この子に体を引き渡せと言うなよ。この鵜久森Aにも人生がある』

夏油「にしてもずっと影の中にいたのかい?」

夏油さんがしゃがんで影を触る。

五条「取り込むなよ」

夏油「分かってるさ」

『最近になって意識がはっきりとして来てな。きっと鵜久森Aが呪術を使うようになったからだろう』

駄目だ。

頭がついていけない。

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年9月2日 9時

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