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-Episode42- ページ43

Satoru Gojo side

現在、近衛家の血が流れる者は誰一人いない。

どの古い文献を漁ったが黒く塗りつぶされ誰に滅ぼされたかは分からない。

畳の上に大の字になって倒れると山になっていた巻物達が顔に向かって倒れて来た。

『悟様』

障子の向こう側から聞こえて声に視線だけを向けると障子に人影が浮かんでいる。

五条「んー」

『こちらで最後になります』

障子が開くと一冊の本が差し出された。

上半身を起こして、受け取ると凄く古い物のようで表紙の文字は読めない。

不思議となんだか懐かしい気がするような。

表紙を撫でて紙を捲った。

所々、読めない文字もある。

『近衛Aという女性が僕の側近になった』

その一文でこの本は、御前試合で禪院家と相打ちになった当時の五条家の当主の日記だと分かった。

『Aは僕の六眼を見て綺麗と言ってくれた。彼女の夜を閉じ込めた瞳がその時輝いた気がした』

日々、近衛Aと過ごした事が書かれていた。

どの文も愛が伝わる。

好きだったんだな。

『私の幸せを願ってくれたA、次は君が幸せになるんだ』

それを最後に残りのページは白紙だった。

起こしていた体を倒す。

任務と言って五条家に来たが補助監督の男と今頃会っているのだろうか。

心が締め付けられるように痛む。

木目の天井に片手を掲げる。

まだ頭を撫でた感触が残る手を広げては閉じてを繰り返す。

アイスを食べた彼女の驚く顔、晩御飯を頬一杯に食べる幸せそうな顔。

初めて会った時からは考えられない色々な顔を見せてくれる。

心の底から笑った近衛Aの笑顔を隣で見てみたい。

起き上がろうとすると最初から此処にあったかだろうかと思う所に小さな木箱が置かれていた。

手に取って箱を開けると編まれていない淡い青色の髪紐が一つ。

きっとあげようと買ったがそれより前にご先祖様は死んでしまったのだろう。

手に取り、雑にポッケに仕舞った。

五条「よっと」

手も使わずに立ち上がる。

何処にいるかなんて他の補助監督脅せば吐くだろ。

そう考えながら廊下を歩く。

この芽生えているちっぽけな愛の感情に名前はあるのだろうか。

そうだな、今は片想いと名付けておこうか。

Satoru Gojo side end

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時

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