-Episode40- ページ41
「断る理由が無いので行きますが何かありましたか?」
悟の顔を見るが悟が何故か私の後ろを見ていた。
何かいるだろうかと振り向くが何もいない。
先程、私が出て来た扉もそこにはない。
五条「俺と……」
そう言った瞬間に悟の携帯が鳴る。
舌打ちをしてから電話に出た。
会話をあまり聞かないほうがいいかと建物の外に出る。
眩しい太陽の日差しに目が眩む。
残り二週間か。
五条「任務になった」
「そうですか。行ってらっしゃい」
サングラス越しでも分かるぐらいに不機嫌だ。
「…帰って来たらこの間買っていたお菓子食べたいです」
五条「チョコ?」
「はい」
五条「ならコーラ用意しとけよ」
嬉しそうに口角が上がる。
五条「分かったか?」
「はい」
そう言うと首を傾げられた。
五条「うんだろ?」
「あ、えっと…」
五条「俺も敬語なんて使ってねェし」
「うん」
小さく返事をすると大きな手が頭の上に乗った。
五条「じゃあな」
「また」
乗っていた手が離れていくと悟が私から離れて行く。
五条「…んだよ」
訳が分からなかった。
気付いた時には袖を掴んでいた私がそこに。
「気を付けて」
俯きながら言って手を離した。
五条「寂しいなら寂しいって言えよ」
「寂しくなどない」
五条「寂しいんだろ?」
「寂しくなどないと言っておる!…あ」
咄嗟に出てしまった口調を聞いた悟の口角が段々と上がって行く。
そして白い歯が見えると笑い声が出る。
五条「アハハハッ!」
「そんなに可笑しいか」
五条「やっぱ長生きしてんだなって」
「五月蠅い」
五条「あー涙出て来た」
サングラスを取っても尚まだ笑っている悟。
あの人にも笑っていて欲しかったけどこの人にはもっと笑っていて欲しいと思った。
それぐらいに笑顔が素敵でよく似合う。
その笑顔に触れたいぐらいに眩しく綺麗で美しい。
「もう笑わないでよ」
五条「土産買って来てやるよ」
また、私の頭に手を置いて触ってから去って行った。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時