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-Episode33- ページ34

その後の返事は無く、寝息が耳に聞こえた。

流石に私も一緒に眠るなんてことは出来ないな。

ふと制服の袖に目がいく。

中のシャツごと破れて白い腕が見えていた。

血は止まっているが爪か牙の鋭い何かで抉られた傷が瘡蓋になっている。

起こさないようにそこに手を近づけ反転術式を使う。

血は消えないが傷は綺麗に消えた。

深く息を吐く。

また、一点だけを見つめていると魘されているのか分からないが言葉にならない声が聞こえる。

今の五条家がどんな家なのかは知らないが私の知っている五条家は冷酷非道だった。

でも、きっと六眼と無下限の抱き合わせの子なら甘やかされて育っているだろうな。

外の世界を知らない籠の鳥。

それは私もか。

肩に乗っている頭を撫でる。

どれぐらいの時間していたのか分からないが雨は夜明けと共に止んだ。

「雨、止みましたよ」

声を出すと頭が動く。

五条「…ん」

「まだ霧が深いですけど下りますか?」

五条「足の怪我、硝子に早く診せねェと」

「そんなに酷くないので…え?」

体が宙に浮く感覚に言葉が途切れてしまう。

また背中に背負られるのだと思っていたら横抱きにされた。

五条「手」

「あ、えっとどうしたらいいんですか」

五条「どっか掴むかしねェと落とすぞ」

「分かりました」

落とされてしまうのは困るので首に腕を回すと今よりすこし距離が近くなった。

サングラスが無い彼をこんなにまじまじと見るのは初めてだ。

本当によく似ている。

五条「何?」

首を横に振った。

真っ白の霧の中を歩くのかと思ったら空中を歩きだした。

「わっ」

不思議な感覚に思わず声が出てしまう。

五条「ご先祖様とはこういうことはしなかったの」

「屋敷から出ることは許されなかったのでしませんでした」

霧の中を抜けるとまるで雲の上を歩いているような錯覚に陥ってしまう光景が広がっていた。

「いつもこんな美しい景色を見ているのですね」

顔を出したばかりの太陽が私達を照らす。

見上げると日差しの光りを受けた六眼が宝石の様にキラキラと輝いていた。

あぁ、本当に美しい。

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時

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