-Episode30- ページ31
人差し指を動かすと投げた薙刀っが戻って来る。
『俺も舐められたものだなァ』
ねっとりとした声が左で聞こえた。
夏油「透明になれる術式でしょうか」
「はい。先程、一瞬でしたが空間が乱れました」
夏油「数秒のインターバルが存在する」
「ですがどのタイミングかは不明です」
『人の話を聞けよ、な！』
微かに私の銘柄とは違う煙草の匂いが近くで感じた。
当たるかどうか分からないがその方向に薙刀を向けると刀身に服のような滑らかな何かが切れる手応えがある。
夏油「下を見て下さい」
小さく耳元で呟かれた声に下を向くと私達のじゃない足跡がくっきりと残っている。
そのまま視線を下に向けていると後ろにいる傑が動いたと思えば私の体が宙に浮いた。
「え、ちょっと！」
そう言った途端にさっきまで立っていた所の地面が割れた。
そこから飛び出て来た呪霊。
「特級呪霊」
人の形を成しているが歪で異形。
夏油「悟は何処に」
「廃旅館にも呪霊がいてそれを処理しています」
横抱きにされたまま話す。
夏油「一旦、開けた神社の所に移動しましょう」
道なき道を駆け上がって行くと半壊している神社が見えて来る。
そこに二人の人影があった。
夏油「悟！」
五条「死んでなかったな」
夏油「で、君は何をしたんだ」
五条「下の廃旅館にいたからボコした」
顔が腫れあがっている補助監督が足元に転がっている。
五条「そっちは」
夏油「呪詛師は透明になれる術式で特級は言わずもかな」
地面に降ろされると肋の辺りが痛む。
顔を顰めていると地面が揺れる振動が伝わった。
「特級は私がやります。お二人は、呪詛師をお願いします」
夏油「でも！」
「任せて下さい」
傑の胸に手を当てて反転術式を使う。
五条「何か策があるんだな」
「領域を展開します」
その一言で緊張感が走る。
まずは相手の術式をどうにかしないとと考えていると石畳に亀裂が徐々に入って行く。
薄暗い森の中から出て来る特級。
傑が呪霊を使い攻撃をして行く。
呪詛師もきっと近くにいるはず。
五条悟の背後の空間が一瞬歪んだ。
見つけた。
「後ろ！」
透かさず五条悟が回し蹴りをいれると近くの幹に重たい何かが当たる音がした。
目配せしお互いの目的に向かう。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年8月8日 22時
