-Episode3- ページ4
今の体では無い時に見た六眼と今見た六眼は一緒だった。
あの時、つい本人に美しいと口走ってしまったが。
だけど彼は嬉しそうに頬を赤らめありがとうと言ってくれたのを思い出していると中断させるかのように携帯が鳴った。
「はいはい」
山になっている服達をかき分け、携帯を探す。
こういう時に思うのはキーホルダーの一つでも付けておけば良かったと。
白色の携帯が見つかる頃には、五月蠅くなっていた携帯は静かになっていた。
画面を上にスライドすると不在着信が表示される。
次期、学長の夜蛾正道だ。
どうせ呪骸の作製の話を長々とされるのか。
深い溜息をつきながら折り返しの電話を掛けた。
夜蛾「今、何処にいる」
「自室」
夜蛾「例の件には目を通しただろうな?」
「…通しました」
夜蛾「ならすぐに教室に来い。いいな」
こちらの返事も聞かずに電話は切られた。
玄関付近に脱ぎ捨てられている制服を拾い上げ手を通していく。
手櫛で髪を纏め、髪紐で結ぶ。
草履を履き部屋を出た。
緩やかに吹く風に飛ばされている桜の花びらの中を歩いていると校舎入り口に先生が立っているのが見える。
「眉間の皺、緩めないと跡になりますよ」
夜蛾「誰のせいだと思ってる」
無視して先に校舎の中に入る。
夜蛾「また上の許可無しに二級呪具を持ち出しただろ?」
「さぁ?」
夜蛾「真面目に答えろ」
「その分の成果として海外を転々と渡り歩いていた特級呪具游雲の回収出来たし良いのでは?」
そいう言うと隣から深い溜息が聞こえた。
「入学早々に問題を起こした一年生と呪具を無断で持ち出した二年生とで任務に行かせるでしたっけ?」
夜蛾「あァ。必要は無いと思うが…」
横から束になった用紙を差し出されるのでひったくるように奪った。
右上に貼ってある顔写真は先程見た黒髪の男。
細かく記載されている内容を目を細めて見ていると教室に着く。
中から聞こえてくる声は、とてつもなく五月蠅い。
入学して三、四日目で仲が良いのか。
隣にいる先生が強く扉を開けると静かになる。
先に入って行くので続いて中に入った。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時