-Episode24- ページ25
「…冷たい」
氷とはまた違う食感。
またアイスと呼ばれた塊を見続け、一口二口と頬張る。
「ほうかしましたふぁ?」
私の様子を見ながらアイスを食べている五条悟に言う。
五条「食ってから喋れよ」
「……すみません」
最後の一口をかぶりつく前にアイスは地面に落ちてしまった。
五条「だから早く食えって言っただろ」
「はい」
溶けて行くアイスに謝り、コンビニを後にした。
電車は、夕方ということもあってかスーツや私達と似た制服の人達で溢れかえっている。
行きは行きで変に緊張してしまい息苦しかったがこれはまた別の意味で息苦しい。
気を紛らわす為に外を眺める。
次の駅に止まるとまた人が入って来て押され壁側から離されてしまう。
何処にも掴める物が無いで手が彷徨っていると白い手が私の手を掴み制服を掴ませた。
「ありがとうございます」
隣にいつの間にかいた五条悟だった。
都内から離れて行くとやはり車内は空く。
残り五駅で私達は座った。
今度は、人一人分も開けずに。
手に持ったコンビニ袋から見えるチョコレートと書かれたお菓子。
五条「なァ」
「は、はい!」
急に話しかけられたせいで少し大きな声が出てしまった。
五条「俺が前に言ったこと気にしてねェの」
「ずっと頭に残っています」
正面に座る男子高校生と目が合うと逸らされた。
「嫌いなのにどうして気にかけてくれるんだろうって」
男子高校生の向こうの硝子に映る自分を見つめる。
「私の人生は私が決めるはずなのにどうして死んだら駄目なんだろうって」
言葉にすると心にあることが浮かぶ。
「…あー今は必要とされていないからか」
つい、心で思っていたことが声に出ていた。
すぐに口を閉じたが絶対に聞こえているだろう。
五条「誰かの為だったら生きたいと思えるのか」
「そうやって生きて来たので」
隣から強い視線を感じるが前を見続ける。
五条「なら俺の為に生きろ、俺が死んでもいいって言ったら死ね」
『A、僕よりも先に死なないで僕がいいよって言うまで』
重なり合う両者の声に自然と口角が上がってしまう。
「分かった」
横にいる五条悟の顔を見ながら言った。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時