-Episode21- ページ22
下ろしていた帳を解き、警察に通報するとすぐに飛んで来た。
都内は相変わらず来るのが早いなと廃ビルに入って行く鑑識達を見ながら思う。
『事情聴取いいですか？』
「はい。あ、ちょっと待ってて下さい」
向かいのビルの階段に座っている五条悟の所に行く。
「今から事情聴取があるので先に帰っていて大丈夫ですよ」
五条「そんなかからねェだろ」
「でも、待たせてしまいます」
五条「別にいい」
「わ、分かりました」
きっと私の予測だが普段の彼は先に帰ってしまうのだろうな。
刑事に状況の説明を事細かく伝え、向こうの質問にも何個か答える。
そんなやり取りが終わった頃には高く昇っていた太陽は沈みかけていた。
「お待たせしました」
五条「腹減った」
「コンビニに寄りましょう」
歩いて行ってしまう五条悟の後を小走りで追いかけて一歩後ろを歩く。
五条「何でそこにいんの」
「あまり視界に映らないほうがいいと思って」
五条「意味分かんね。また、迷子になられたら困るから隣にいろよ」
「は、はい」
隣に並んで歩く。
まだ夏のように日は長くないせいかすぐに夜へと変わった。
駅近くのコンビニに寄る。
買いたい物は無いと伝えるとコンビニの中に入って行った。
端の方に灰皿があったので前に移動し煙草を吸う。
ぼんやりと前を車道を挟んだ前のお店にいる集団を見ていると遮られた。
『オネーサン、一人？』
視界を遮ったのは、茶髪の男二人。
『暇？ってか何着てんの？着物？』
『まだ夏じゃねェのに？』
いい匂いとは言えない煙草の煙が鼻に香る。
『ご飯、行こうよ』
『あ、もしかして彼氏とかいる？』
五条「カレシ様ならいるけど」
横から聞こえた声に振り向くとコンビニ袋片手にした五条悟がいた。
五条「コイツに何か用？」
『あーいえ、何も無いです』
そう言って男達は吸っていた煙草を灰皿に捨て去って行く。
五条「やる」
割れる音が聞こえると見た事も無い物が渡される。
五条「はァ？！アイスも知らねェの？」
「これがアイスなんですね」
受け取ると微かに手が冷たくなる気がした。
五条「早く食べないと溶けるぞ」
先に食べている五条悟の真似をして水色の塊をかじった。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年8月8日 22時
