-Episode20- ページ21
「どうして冷凍庫にいたんですか？」
五条「この部屋に違和感を感じて入ったら閉じ込められた。冷凍庫の扉を開けた瞬間から意識がねェ」
「特に冷凍庫からは何も感じないですけどね」
五条「もう離してくんね？」
「あ、はい」
背中を擦っていた手を止めると五条悟が私から離れて行く。
五条「あのさ…」
立ち上がって落ちている刀を拾い上げていると後ろから声を掛けられる。
「はい」
五条「あー後ででいいや」
「そうですか」
刃に呪力を纏ませ、扉を斬り込むと弾かれると思っていた扉は簡単に斬れた。
外に出ようとした瞬間に視界が真っ白になる。
体に張り付くのは紙だ。
大量の紙の圧に押されてしまい、体の重心が後ろに傾く。
転びそうになると肩に手が回る。
その瞬間、張り付いていた紙が落ちて行く。
されるがままに給湯室を出ると紙達は一つの纏まりになり大きな男の顔へと変化した。
五条悟が空いている手を前に出すと空間が捻じ曲がると呆気なく一つの塊になってしまう。
近づき、塊を刀で真っ二つにすると呻き声と共に塵になる。
どうしてこんな弱い呪霊に無下限呪術が通用しなかったんだろうか。
疑問に思っていると肩を掴んでいた手が離れて行く。
呪霊の気配は……後ろ！
隣にいた五条悟を突き飛ばすと私の体が廊下を跳ね、転がる。
刀身で受けていなければ確実に肋骨の二、三本は折れていたな。
床に切先をを刺し、転がる勢いを殺す。
五条「無事か！」
「はい！」
目が回っているのを頭を振って正常へ戻すと廊下の真ん中に人影がある。
頭に矢が刺さって甲冑を着ている呪霊が一体、それと似たのが三体。
廃ビル建設時の事を調査すればきっと社があったと報告が上がるだろう。
深呼吸をして刀に呪力を纏わせ、呪霊一体目掛けて投げた。
それと同時に走りだし距離を詰める。
髪紐を解くと鎖鞭に変化した。
投げた刀は呪霊の首を貫通し壁に刺さる。
そして大きく振りかぶった鎖鞭は二体の頸に巻き付き千切った。
最後の一体に視線を向けるとタイミング良く五条悟が祓っている。
鎖鞭を髪紐に戻し、髪を一纏めにした。
「これで全部ですかね」
呪霊の気配は感じない。
五条「それ縛る時に奇妙な感じしてたけど呪具だったのかよ」
「今のように取り出すのが不便な時もあるので非常用ですね」
壁に刺さった刀を抜きながら言う。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年8月8日 22時
