-Episode16- ページ17
ネジを拾い上げ、閉まった扉を開け少し顔を出すと廊下の突き当りに膝を抱えてしゃがんでいる五条悟の姿があった。
「あの…」
私の声は廊下をよく通る。
返事は無い。
「あ、あの!」
いつもより少しを声を上げた。
五条「聞こえてるっての!」
その後に何か小言を言っていたが聞こえない。
五条「…ん……なん…で!」
「はい?」
聞き取りにくいから扉を開けようとする。
五条「なんで服着てねェんだよ!」
さっきよりも大きな怒鳴り声に扉を開けるのを辞めた。
あぁ、そうかこの時代では犯罪だのなんだのとなるのか。
すぐに扉を閉め、さっきの姿へと戻る。
髪も濡れたままもまずいか。
ピンチハンガーに干してある無地のタオルを頭に被って再度部屋を出た。
しゃがんでいる五条悟の前に立つと膝に埋めている顔が上がる。
上目遣いの六眼と目が合うと顔に束になった紙が投げつけられ張り付く。
手に取っているとしゃがんでいた五条悟が立ち上がっていた。
五条「資料」
「補助監督はいないのでしょうか?」
五条「人手不足でこっちに回せねェってよ」
場所を見ると都内の廃ビルのようだ。
これなら電車で行けるからいいか。
警察による調査内容を読み進めていると目の前に影が出来た。
太陽が雲で隠れたのだろうと思っていると頭に大きな手が触れる。
見上げようとするがあまりの力強さに出来ない。
濡れている頭を拭かれる。
この人、私のこと嫌いなんだよね?
五条「部屋にドライヤーあんの」
「え、あ、えーっと…」
いつも髪は自然乾燥させてるからドライヤーというのは無いな。
五条「は、ねェの?」
「無いです」
頭上から舌打ちが聞こえると手を掴まれた。
引きずられるように何処かへと連れて行かれる。
葉桜が目立つ桜の木の道を歩いて行くと真新しい建物が見えた。
中に入ると掃除をしている女性が一人。
目が合うと会釈されるの一応するが挨拶も出来ずそのまま二階へと連れて行かれた。
階段を上ってすぐに部屋の扉を乱暴に開け、私は投げられる。
五条「ちょっと待ってろ。部屋の物に触れたらぶっ殺すからな!」
また乱暴に扉を閉め何処かに行ってしまった。
ずっと隣で香っていた匂いのする部屋。
きっと此処は彼の部屋だ。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時