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-Episode15- ページ16

取り残された私と五条悟。

彼の姿を盗み見るように見ると睨まれた。

五条「遅れたら置いていくからな」

「は、はい」

そう言って去って行ってしまう。

不思議とその背中が消えるまで私は見続けていた。

自室に入ってすぐの浴室に置いてある、猫足バスタブに熱いお湯を注ぎ入れる。

その間に制服を脱いで下着姿で斜めを向いているソファに寝転んで上を向く。

真横にあるローテーブルの上に置かれたコンビニの袋から新しい煙草の箱を出す。

包装をのんびり剥いていると浴室から水の溢れる音が聞こえた。

深く息を吐き出して箱の包装を剥くことを辞めて浴室に行く。

下着をその辺の籠に投げ入れ、入浴剤も入っていない透明の湯気の上がるお湯へ足から入る。

全身浸かると何も考えられなくなるぐらい一気に疲れが押し寄せた。

手でお湯を撫で回す。

「任務で…聞けたら……いいな」

どうして死んだら駄目なのか。

本人に聞かない以上は、答えは分からない。

今も考えてみるがちっとも答えは出そうになく、ただ疑問だけが頭の中を飛び回るだけだ。

雑念を落とすように浴槽の縁に乗せていた頭をお湯の中へと沈めた。

膝を抱える体勢で息の続く限り潜っていると遠くで携帯の鳴る音が聞こえる。

無視すると着信音は聞こえなくなるがまた数秒すると聞こえ出す。

浴槽から出ると大量のお湯がタイルを濡らした。

気にせずそのまま扉を開け、白い湯気と共に浴室を出る。

睫毛に付いていた水滴が頬へと滑り落ちた。

それを手の甲で拭い、制服から携帯を取り出す。

画面をスライドさせると夜蛾先生からの着信が二件。

折り返しの電話を掛けようとしたら部屋の扉が勢いよく開いた。

扉を蹴飛ばした長い足が下がるとサングラスを掛けた顔が見える。

こちらからはサングラスの向こうの六眼は見えないが多分目が合っていると思う。

五条「は」

「何か御用ですか?」

声を発した途端に扉がまた勢いよく閉まった。

その衝撃で扉の何処かを固定していたネジが一本落ちて傾いている床の上を転がって私のつま先に当たる。

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年8月8日 22時

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