TIÀMⅣ【ハリーポッター】 (ページ11)

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~femtiosex~ ページ11

ファングは木の根や落ち葉の匂いを嗅ぎながら、私達の周りを敏捷に走り回っていた。

クモの群れが小道を移動する足取りを私の持っているランタンの灯りを頼りに追う。

小枝の折れる音、木の葉の擦れる音の他に何か聞こえはしないかと、耳をそばだて黙って歩き続けた。

ニ十分ほど歩くと木々が一層深々と茂り、空の星さえ見えなくなり、闇の帳りに光を放つのは私のランタンだけになる。

その時、クモの群れが小道から逸れるのが一瞬見えた。

立ち止まり、クモがどこへ行くのかを見ようとしたが、ランタンの小さな灯かりでは一寸先は見えるはずはない。

こんなに深い森だと思っていなかった。

そりゃ大人達が入るなときつく言うわけだ。

「どうするの？」

ロ「ここまで来てしまったんだもの」

そう隣にいるロンが答える。

クモの素早い影を追いかけて、森の茂みの中に入り込んだ。

もう速くは動けない。

行く手を遮る木の根や切り株も、ほとんど見えない真っ暗闇。

何度も何度もしゃがみクモの群れを確認する。

三十分ほどは歩いただろう。

ハリーのローブが低く突き出した枝や荊に引っ掛かりだす。

私も穴を開けないように慎重に歩く。

下っていないか？

不意に自然と体重が前にかかっているような気がし始めた。

ファングが急に大きく吠える声が木霊しハリーとロンが飛び上がる。

ロ「なんだ？」

ハ「向こうで何かが動いてる」

息を潜め、耳を澄ませる。

右、右の少し離れたところで大きな何かが木立の間を枝を折りながら動いている音が聞こえる。

ロ「もうダメだ！」

ハ「君の声が聞こえてしまう」

ロ「僕の声？とっくに聞こえてるよ。ファングの声が！」

「静かに」

もう一度、静かにさせるとさっきまで聞こえていた音が聞こえなくなった。

ハ「何をしているんだろう？」

ロ「飛びかかる準備だろう」

ハ「行っちゃったのかな？」

「どうだろうか」

突然、右の方に閃光が走った。

暗闇の中で眩しい光に、反射的に手をかざして目を覆う。

薄っすらを見えたのは車。

ロ「ハリー！僕たちの車だ！」

ハ「え？」

走って行くロンの後をハリーと一緒に追いかけた。

滑りそうになりながらも光りの方へ。