−Fifty Four− ページ6
GUEL JETURK side
暖かく柔らかい何かが動く感触に目を覚ました。
動いたのは、腕の中で眠っているAだ。
微かに聞こえる寝息を合わせるように肩が上下に動く。
オル「教えてやる。その女は、両親をアーシアンに殺され少女兵となり両親を殺したテロ組織を1人で壊滅させた」
シーシアという少女の墓を作った直後に意識を失ったAを抱きとめた俺に言われた言葉を聞いた時、全身の血の気が引いた。
オル「危険分子だと見做され、スペーシアンの地球研究施設で研究対象のモルモットとして収容された」
言っている事がAの過去だと信じられなかった。
オル「他にもいた研究対象と共にプラント・クエタに送られたが途中ジェターク社のMS部隊にアーシアンのテロ組織の輸送船だと思われ襲撃された」
何も入っていないはずの胃から何かがせり上がって来る感覚に手を押さえた。
血色の無いAの顔を見た。
どうして生きているのだろうか。
オル「どういうわけかその女は、宙域を彷徨っていたらしい。それをヴィム・ジェタークが秘密裡に保護したそうだ」
グエル「父さんが…」
辛かったはず。
苦しかったはず。
なのにいつも俺の前では、笑顔でいてくれていた。
腕の中にいるAを強く抱きしめた。
グエル「俺は…頼りないのだろうか」
乾燥して艶が薄れてしまっている黒髪に顔を埋めた。
「ん」
グエル「悪い、起こした」
「おはよう」
グエル「おはよう」
聞こえていなかっただろうかと考えているとAは腕の中から立ち上がって出て行く。
「んんー！」
日の当たる場所に移動すると大きく伸びをした。
肌寒い風が黒髪を泳がす。
「帰ろうか」
そう言い振り返る。
不安そうな表情を一瞬見せるがいつもの笑顔を見せてくれる。
やっとあの時、芽生えたものが何か分かった。
愛おしいと想う気持ちだ。
Aが17の誕生日を無事に迎えることが出来たら婚約を申し込もう。
グエル「あぁ、帰ろう」
GUEL JETURK side end
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アルマジロ(プロフ) - 雛さん» コメントありがとうございます。楽しく読めれる作品を作れて嬉しいです。また、次回作でお会い出来ることを願っています。 (7月21日 11時) (
レス) id: a2e34baed4 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - お疲れ様でした。いつも楽しく読ませて頂いておりました。次回作もあれば楽しみにしております。ありがとうございました！ (7月18日 13時) (レス) id: 41047c8144 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - リルさん» コメントありがとうございます！頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (5月29日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
リル - いつも見ています！最高です！これからもお願いします！ (5月29日 18時) (レス) @page5 id: 92d48ed5dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年5月27日 19時
