−Eighty Four− ページ36
ゆっくりと開く電子扉を無理矢理に開け、格納庫中に入るが機体もラウダの姿も無い。
『ですから先程、ラウダ様は機体に乗って宙域に』
「どうしてあの機体に乗せた！」
『どうしてって…』
「ガンダムだって分かっててか！」
メカニックの男の胸倉を掴みそのまま壁まで押す。
「私だ。至急、ベギルベウの準備…」
続けての言葉が出なかった。
後頭部に物凄い痛みを感じる。
バランス感覚が一気に失われていく。
最後に見えたのは、レンチを持ったメカニックの男だった。
きっと私を殴るつもりなんてなかったのだろう。
顔が怯えていた。
視界が黒に染まるが意識がぼんやりとあった。
どうしてこんな未来になってしまったのだろうか。
人と人が争うのはもうこりごりだ。
グエルと幸せな暮らしを望んでいたのに、何なんだこの未来は。
違う。
私が望んでいたのは。
こんな未来じゃない。
『抗っていないではないか』
遠くから私に問いかけられる声。
この声の正体は分かっていた。
『その力を使い、平和へと道を作ると言っていたのは嘘か？』
ハリィラネル。
『抗え』
聞こえた言葉に力が入らなかった体に力が入る。
重たい瞼を開けると男達の姿は無かった。
ゆっくりと立ち上がると首筋から生暖かい鮮血が伝う。
雑に白い袖で拭うと真っ赤に染まる。
血塗れになった上着を脱ぎその場に放り投げた。
出ようと一歩、一歩歩いていると格納庫の壁が大きな音を立てて崩れる。
鳴り響く警報。
舞い上がる粉塵の中に浮かび上がる七つのカメラアイ。
ハリィラネルのデータ、エアリアルのデータ、ヴィナディース機関にあったガンダムのデータを集約させたが故に脳に掛かる負担は計り知れない。
キャリバーン以上の化け物を私は製造していた。
『何が起こっている！』
『分かりません！』
騒ぎを聞きつけた男達が入って来る。
私は助走をつけハンガーの上を走り、柵に足を掛け飛んだ。
舞い上がっている粉塵の中から伸びて来た手が私を受け止めてくれる。
「エスティガワン」
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アルマジロ(プロフ) - 雛さん» コメントありがとうございます。楽しく読めれる作品を作れて嬉しいです。また、次回作でお会い出来ることを願っています。 (7月21日 11時) (
レス) id: a2e34baed4 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - お疲れ様でした。いつも楽しく読ませて頂いておりました。次回作もあれば楽しみにしております。ありがとうございました！ (7月18日 13時) (レス) id: 41047c8144 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - リルさん» コメントありがとうございます！頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (5月29日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
リル - いつも見ています！最高です！これからもお願いします！ (5月29日 18時) (レス) @page5 id: 92d48ed5dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年5月27日 19時
