−Fifty Two− ページ4
グエル「これ以上なくしたくないんだ。俺と父さんを繋ぐもの」
隣から聞こえたグエルの声を最後に私の意識は闇へと落ちた。
「お母さん？お父さん？」
少女の声に目を開いた。
辺り一面、火の海。
その中を泣きながら歩いていたのは幼い頃の私。
体を動かそうにも石の様に硬く言うことを利かない。
「お母さん！お父さん！どこにいるの！」
お願いだからそこから逃げてと声を出そうにも声は出ない。
「どこ行っちゃったの…あっ！」
瓦礫に躓き転んでしまった。
駄目。
来ないで。
『生き残りがいたぞ！』
背後からライフルを持った男が近づいて来ると建物の隙間からもう1人顔を出した。
『子供だ。どうする』
『待て、この子供』
男の1人が端末を見る。
『王家の子供が見つかっていない。特徴がこの子供と似ている』
『ならコイツだな』
男は、糸の様に目を細めて口角を上げて笑う。
ライフルの銃口が倒れている私に向けられたその時だった。
甲高い銃声音が鳴り響くと男の額に穴が開き、鮮血が宙を舞う。
ゆっくりと視線を撃たれた男から横に向けると両手でしっかりと拳銃を握っている私がいた。
仲間が殺された事が信じられないのか動かない男の胸に穴が開き、瓦礫の山へと転がる。
殺したのだ。
人を。
私が。
世界が歪み、私の意識は飛んだ。
何かが燃える音が遠くから聞こえていたがそれは段々と近くで聞こえてくると飛び起きた。
「はぁ、はぁはぁ……はぁ」
思い出したくない過去の記憶に胸が苦しい。
汗が蟀谷を伝い顎から手へと落ちた。
顔を上げると燃える音の正体が視界に入る。
焚火だ。
ぼんやりと焚火を見ていると茂みが揺れ動く。
立ち上がり、腰のフォルダーに入っている拳銃を手にし構える。
暗闇で蠢く黒い影に照準を合わせたが手が震えてしまい拳銃を落としてしまった。
グエル「A？」
茂みの中から出て来たのはグエル。
落としてしまった拳銃と私を交互に見たグエルはすぐに私の元に駆け寄って来てくれた。
グエル「まだ顔色が悪い。寝てたほうがいい…」
今は、ただこの人の温もりを感じたかったからか気づいたら抱きついていた。
ゆっくりと動く心臓の音が荒れた私の心を落ち着かせる。
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アルマジロ(プロフ) - 雛さん» コメントありがとうございます。楽しく読めれる作品を作れて嬉しいです。また、次回作でお会い出来ることを願っています。 (7月21日 11時) (
レス) id: a2e34baed4 (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - お疲れ様でした。いつも楽しく読ませて頂いておりました。次回作もあれば楽しみにしております。ありがとうございました！ (7月18日 13時) (レス) id: 41047c8144 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - リルさん» コメントありがとうございます！頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (5月29日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
リル - いつも見ています！最高です！これからもお願いします！ (5月29日 18時) (レス) @page5 id: 92d48ed5dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2023年5月27日 19時
