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−Twenty Nine− ページ30

一夜明け、早朝。

寮を出るとまだ薄っすらと霧が立ち込めていた。

肌寒さに腕を組みながらジェターク寮学園艦に向かう。

いつもなら忙しく人が出入りしているが今は、静まり返っている。

格納庫のロックを外すと重たい扉がゆっくりと自動で開く。

少し開いた隙間から体を滑り込ませ中に入ると昨日の決闘を終えたディランザが格納庫の端にいた。

使える部品はラウダや他のディランザにかな。

正面に座ってグエル先輩用に塗装されたマゼンタ色のディランザを見上げる。

何も言葉を発しず、何も考えずにただ見つめていると格納庫の扉が開く音が聞こえた。

「随分、早起きじゃない」

ラウダ「起きた時に君が寮を出て行くのが見えた」

「よく此処だと思ったね」

ラウダ「勘だよ」

「そう」

私の隣にラウダが座った。

「制服汚れるよ」

ラウダ「かまわない」

二人で黙ってディランザを眺める。

「いよいよ、明日だね」

ラウダ「うん」

今日、ダリルバルデの搬入がされる。

メンテナンスの指揮は、私にあった。

その圧に押し潰されそうだったから気づいたら此処に来ていたのだ。

ラウダ「僕とAとで兄さんを支えるんだ」

「うん」

小さい頃、ラウダと約束とした。

支え、守ると。

だから私達は対等の関係。

隣に座るラウダの肩に頭を預ける。

先輩に少し似た匂いが鼻に香った。

まだ、三人で一緒にいたい。

『____』

ラウダ「何、笑っているんだ?」

「自分は、まだまだだなって思って」

ディランザ、ありがとう。

貴方の想いは私達が引き継ぐ。

だから見守っていてね。

瞬きをすると一瞬、ディランザのカメラアイが薄っすらと返事をするように光った気がした。

ラウダ「A」

「ん?」

肩から頭を上げてラウダの顔を見ると目が合うとラウダの目が見開かれる。

ラウダ「…君の目ってそんな色だったか?」

心臓が跳ねる。

「どんな色?」

私用の端末を出して目を見る。

「いつもと一緒じゃない?」

もう一度、ラウダの顔を見ると首を傾げられた。

ラウダ「金色ぽく見えたけど」

「朝、弱いからまだ寝ぼけてるんじゃないの?ほら寮戻ろう」

先に立ってラウダに手を差し出すと手を握ってくれたので引っ張る。

ラウダ「君も寝ぐせ直してから学校に行くんだな」

そう言われ頭を触ると跳ねていた。

「もっと早く教えてよ!ラウダ!」

笑って先を行くラウダの背中に怒鳴る。

良かった。

私とディランザが繋がってたの知られなくて。

−Thirty−→←−Twenty Eight−



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アルマジロ(プロフ) - なるのぎさん» 初めまして!グエルくんオチの作品少ないですよね…私もグエルくん推しです!ご希望に添える作品になれるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いいたします! (5月20日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
なるのぎ(プロフ) - グエル推しなので、凄く嬉しいです!😭これからも更新、頑張って下さい。応援してます! (5月20日 18時) (レス) id: 9a1c05d315 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アルマジロさん» ファイト〜〜〜!! (5月17日 16時) (レス) id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - 舞さん» 初めまして!コメントありがとうございます!分かりにくい点など出てくるかと思いますが精一杯頑張りますのでよろしくお願いします! (5月17日 16時) (レス) id: a2e34baed4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩( ᐛ )و (5月17日 16時) (レス) @page20 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルマジロ | 作成日時:2023年5月16日 23時

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