雨露に濡れた華【森久保祥太郎】

〜38話〜 ページ39

「Twitterに写真とか上げても良かったです？」

森久保「あ〜ラジオの？」

「はい」

森久保「真剣になって車酔いしないでよ？」

「子供じゃないんですからしませんよ」

鞄からスマホを取り出してTwitterを開く。

少しだけ今日の感想を読んでから櫻井さんと一緒に撮った写真付きのツイートをする。

「あ、そう言えば来週のゲスト祥太郎さんでしたね」

森久保「俺もそれ今日マネージャーから聞いたんだよね」

「ラジオ中なのに大声で叫んじゃいました」

森久保「うん 聞いてた俺もびっくりしちゃったよ」

「すみません」

微かに流れている洋楽に耳を傾けながら高速から見える東京のネオンを見ていると右手に何かが触れた。

視線を窓からそちらに向けると祥太郎さんの手が私の手の上に乗っていた。

「仕事で何かあったんですか？」

最近、家でテレビを二人で見ている時にこうして来る時がある。

大体は仕事。

森久保「曲が上手く出来なくてモヤモヤしてる」

「曲ですか 私は作ったことがないので分かりませんが一度曲の事を忘れるのもありじゃないです？」

森久保「忘れてみる‥‥か」

「はい 私もよく朗読劇とかで台詞覚えれない時は一旦頭の中を空っぽにしてからまた覚えるとすんなり覚えれます 曲作りとは全く違いますけど」

森久保「一回試してみるよ」

「是非」

私が答えると手の上に乗っていた手はハンドルに戻った。

もう少し触れていたかったな。

少しの贅沢を心の中で呟いた。

森久保「明日 早めに行くけど大丈夫そう？」

「祥太郎さんが起こしてくれるなら」

森久保「Aちゃん 一回寝たら起きないからなぁ」

「祥太郎さんは凄いですよね すぐに起きちゃうんですから」

森久保「爺だからって言いたいの？」

「別にそう言うつもりで言ってませんよ」

森久保「運転中じゃなかったら叩いてたよ そのニヤニヤした顔」

「あ〜怖いです」

その後もくだらない話をして私の家に帰った。

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