〜10話〜 ページ11
浪川「本当に付き合ってないんだよね?」
「しつこいですよ 付き合ってませんよ」
出来上がったキーマーカレーの上に乗った温泉卵を割りながら言う。
浪川「好意はあるの?」
「会ってまだ2回目なのにそんな気持ちになりませんよ」
嘘。
ちょっぴりドキドキしたから祥太郎さんのこと少しは意識し始めている。
でも、今目の前で私が作ったキーマカレーの写真を撮っている男に言うとまた五月蠅くなるので言わないでおこう。
浪川「いただきます」
「美味しいですか?」
浪川「うん 家庭の味で美味しいよ」
「家庭の味ですか」
浪川「お母さんともう何年も会ってないんだっけ?」
「はい 最後に会ったのは中学生になる時ですね」
母の顔は霧がかかった様にぼんやりとしか記憶に残っていない。
浪川「ごめん」
「え?急にどうしたんですか?」
浪川「あんまり家族の話とかしない方が良かったかなって…」
「大輔さん 私には気を使わないで下さい 私も大輔さんには気を使っていないんですし」
浪川「分かってるけど」
「私にとって大輔さんはお父さん的存在ですし大輔さんも私の事を娘だと思って下さいよ」
浪川「そこはせめてお兄ちゃんにしてよ」
「年齢差考えて下さいよ 20も離れているのに兄妹は無理があります」
浪川「無理」
「私も大輔さんがお兄ちゃんなんて無理です」
大輔さんといがみ合うが2人共すぐに笑ってしまった。
浪川「あーほんと一緒にいると飽きないな」
「それだからってほとんど毎日私の家に来るのは辞めて下さいよ」
浪川「えー」
付け合わせのサラダに箸を伸ばすとインターフォンが鳴った。
「「じゃんけーん ぽんっ!」」
私の負け、大輔さんの勝ち。
嬉しそうにガッツポーズされたので睨みながらインターフォンのモニターに向かう。
何か注文してたっけな。
モニターを見ると黒い帽子マスク姿で素顔が見えない男性が映っていた。
一気に全身に寒気がする。
知らない男性、誰、分からない。
頭の中を単語が飛び交っていると後ろから大輔さんが来る足音がしたのでモニターを切った。
浪川「誰だったの?」
「多分間違えたのかモニターの前には誰もいなかったです」
自分にしか分からない程度で声が震えている気がしたが大輔さんには気づかれないだろう。
浪川「え゛ 怖いこと言わないでよ」
「このマンション割と心霊現象多くないです?」
私がふざけたことを言うと大輔さんはリビングに走って逃げて行った。
きっとあの男性は間違えたのだろう。
そう考えよう。
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ユリア(プロフ) - アルマジロさん、お返事ありがとうございます。これからも頑張ってください!応援してます(^▽^)/ (2022年12月29日 15時) (レス) id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - ユリアさん» 初めてまして!コメントありがとうございます。素敵な作品と言っていただけて作者とても嬉しい限りです!読んでくださってありがとうございました! (2022年12月28日 20時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - とってもいいお話でした!この後の物語がどうなって行くのか色々と想像してしまいます!素敵な作品をありがとうございました(^▽^)/ (2022年12月25日 12時) (レス) @page46 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロ(プロフ) - 豆腐さん» いつもコメントありがとうございます!これからも更新頑張りますので見て頂けたら嬉しいです!今後もよろしくお願いします。 (2022年6月16日 19時) (レス) id: b1fa09fe0f (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - アルマジロさんが書く森久保さんや浪川さんのお話が大好きで更新される度にワクワクしながら読ませて頂いていました!次の作品も読ませていただきますが一先ずお疲れ様でした!! (2022年6月13日 20時) (レス) id: d034a9fa72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2021年12月28日 21時