〜5話〜 ページ6
建物の中は、昔お頭に読んで貰った絵本の1ページの様な世界が広がっていた。
何処かの窓が開いているのか蝶や名前も分からない虫達が数々の植物に止まっている。
「「お嬢ちゃん 見て来ると良い」」
ホンゴウさんの方を見ると頷いてくれるので手を離して探検を始めた。
此処には植物以外にも宝石や動物の剝製も置いてあって本当に絵本みたい。
決して手に届かない星の様な宝石達の1つを手に取ると、眩しい宝石の輝きに目が眩む。
「綺麗」
「「持って行くかい」」
急に後ろから声を掛けられたから驚いて手に持っていた宝石を落としそうになる。
振り返ると老婆とホンゴウさんの姿。
ホンゴウさんの両手には紙袋が抱えられているので用は終わったみたい。
「わ、私にはこんな高額の物なんて頂けません」
「「素敵な女の子には宝石が必要よ」」
老婆の両手が私の手を包み込む様に握った。
ホン「良かったな」
「はい 凄く綺麗です」
紙袋を片手に老婆から貰った宝石を空にかざすと青緑色をした宝石はゆっくりと赤くなり始めた。
ホン「あの婆さん何者なんだよ それ大事にしろよ」
横で私の様子を見ていたホンゴウさんに言われる。
「貴重なんですか?」
ホン「あァ」
「へぇ〜」
すっかりお頭の髪色みたいに綺麗な赤色に染まってしまった宝石を、失くさないように持って来ている鞄の中に仕舞い込んだ。
紙袋を持っていない手でホンゴウさんの手を握った。
ホン「アイス辞めてアレにしねェか?」
指差す方向にあるのは色とりどりの雲。
「雲なんて食べれるの?」
ホン「綿菓子って言うんだよ」
「わたがし?」
初めて聞く言葉に首を傾げる。
ホン「おじさん 1つ貰う」
「「ありがとう!お嬢ちゃん 何色が良い?」」
「コレ!」
「「毎度あり〜」」
ホン「ほんと赤色好きだよなァ」
「お頭の色だから好きです いただきます」
1口、かぶりついた。
綿菓子は口の中から一瞬で消え、甘さだけが残った。
「んん〜 美味しい!ほらホンゴウさんも」
ホンゴウさんに差し出すと違う口が綿菓子を食べる。
「お、お頭!?」
シャン「やっぱ甘いなァ」
口元に付いた綿菓子を舌で舐めているお頭がいた。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2022年9月17日 23時