〜31話〜 ページ32
お頭の腕に抱かれたウタ。
このまま船に向かうと思っていたのにお頭の足は別の場所に向かう。
「お頭？」
シャン「ウタは此処に置いて行く」
「何でですか！！！」
ライム「Aお頭が決めた事だ 俺達が何も言える立場じゃねェっておい！！！」
私はライムさんの背から降りて、小屋に向かうお頭まで走った。
「お頭！！！」
お頭の前に出て両手を広げる。
シャン「A退け」
「嫌です！！」
シャン「ウタは此処で最高の歌い手として育った方が良い お前も分かるだろ このままこの才能を俺達が囲っちまう訳にはいかない」
「もしこの事を知ってウタがこの世界を変えようと動いたらどうするんですか！」
目の前が涙で歪む。
シャン「その時は俺達が救えにこれば良い」
「う‥‥…うぅ‥‥」
ライム「ほら行くぞ」
ライムさんの手を引かれる。
「ウタ 恨んでも嫌いになっても貴方はいつまでも私の妹だから」
眠っているウタの頬を撫でその場から走った。
海軍の軍艦がこちらに光信号を送っているのが見える。
ライム「行くなよ」
「ライムさん」
ライム「今 お前がやることはお頭の傍にいることだ いいな」
「そんな事言われなくても分かってます」
溢れだした涙を手の甲で拭いながらレッド・フォース号に戻る。
暫くするとお頭が戻って来た。
ホンゴウさんに木製のジョッキを渡されるので皆と同じタイミングで暗くて星が綺麗な夜空に掲げる。
中に入っているお酒を一気に飲み干すが味は分からない。
涙のしょっぱい味しか。
海軍は暫くは追いかけていたがこちらとの縮まらない距離に諦めたのか追って来なくなった。
私は、お頭の部屋の前に立っている。
何度かノックをしようか腕を上げたり下げたりの繰り返し。
意を決してノックをしよと上げたら、扉が開き上げている手を引っ張られた。
ランタンの火も付いていないお頭の部屋は闇に染まっている。
闇の中を突き進むお頭の背中は寂しそうだ。
「1人で呑んでたんですか」
部屋の中をラム酒の香りがする。
お頭は何も言わずに私と荒れたベットの上に降ろした。
隣にお頭が座るとベットが軋む音を鳴らすとお頭は頭を私の膝の上に乗せる。
自然と私の手はお頭の頭を撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
