〜28話〜 ページ29
近くのテーブルに置いてある飲み物を手にテラスに出る。
星を眺めながら飲み物を飲む。
ベック「お嬢さん 1曲どうだ？」
聞き馴染みのある声に振り向きもしないでいると横から私の顔を覗き込んで来るベックさん。
ベック「酷い顔だぞ」
「私はまだまだお子ちゃまですよ」
ベック「あんな鼻の下伸ばして行かれちゃな」
「はァ」
溜息を吐き出す。
ベック「折角綺麗にして貰ったのにな」
「綺麗も可愛いも言ってくれなかったです」
やけくそになりながら飲み物を一気に喉に流し込む。
ベック「気晴らしにどうだ？」
隣に差し出される手。
その手に私は手を置いた。
お頭とは違う手が私の手を握り引く。
色とりどりのドレス達が舞う会場に戻る。
流れている音楽に見様見真似で動く。
女の人と話をしているお頭と目が合う。
ベック「集中しろ」
横を向いてしまっている顔を正面に戻すようにベックさんの指先が顎に置かれベックさんと目が合う。
「はい」
流れている曲の曲調が変わるとベックさんが離れていったと思えば、目の前ライムさん。
「ラ、ライムさん！？」
ライム「んだよ 俺じゃ不満か？」
「いえ 踊れたんです」
ライム「俺はホンゴウと違って踊れるからな」
ライムさんの目線の先に見えるのはこちらを悔しそうに見ているホンゴウさんの姿。
「ふふふ 凄い怒ってますね」
ライム「だな にしても踊れたんだな」
「見様見真似ですけど…」
ライム「周りの男達が躍って欲しいだのぼやいてたぞ」
「私はお頭と踊りたいんですけど」
ライム「残念だったな お頭は別の女に夢中だ」
「知ってます‥‥あ」
体重が後ろに掛かってしまい体制が崩れるが腰に回されたライムさんの手が支えてくれるのでこける事はなかった。
ライム「ったく」
「すみません」
曲が終わり、ライムさんと近くのテーブルに飲み物を取りに行く。
グラスを持とうと手を伸ばした時だった。
ライム「A？」
何か分からない気配に当たりを見渡した瞬間に耳鳴りがすると辺りが赤い光に包まれる。
「ライムさん！！」
足を踏ん張って爆風に耐えるがヒールでは難しく飛ばされ壁に強く叩きつけられた。
ライム「逃げるぞ！」
痛みに目を開けるのと同時にライムさんが私を横抱きにしてその場から離れる。
「お頭達は！」
聞こえてくる悲鳴の数々。
ライム「今は逃げるのが優先だ！」
燃え盛る城から出た。
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2022年9月17日 23時
